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木炭 | デッサンで使う木炭の使い方と特徴

木炭とは

木炭はデッサンを描くために使用される描画材です。木炭の種類は多く、原料となる木材によって、太さや硬さ、色の濃淡は異なります。

さまざまな木炭がある中でも一番使用されるのはヤナギの木炭です。ヤナギは柔軟な描き心地があり、濃い色を出すことができるので人気がある木炭です。

木炭の特徴

木炭は木の枝や幹などをデッサンに使えるように炭にしたものです。木炭は鉛筆とは違い、力を加えれば粉々になるほど柔らかく、HやBなどの鉛筆の硬さの表示のようなものはありません。

軟らかい木炭の素材であるもののシャープな線や微妙な濃淡が、一種類の木炭でほとんどの表現を可能にします。

木炭は樹木の素材の数だけ性質が違い、炭化させる方法によっても差異があります。鉛筆のような定着力はなく、木炭紙の凹凸に粉状になった木炭が入り込むことで定着します。定着力が非常に弱いので、微妙な濃淡の表現ができます。最終的に画面に定着させるためにはフィクサチーフを利用します。

木炭の使い方

木炭でデッサンを描くときは、木炭紙に描くことで木炭の特質を生かすことができます。

カルトンに木炭紙を敷く

木炭紙に描く方法は、カルトンを土台にして、描写する木炭紙を傷めないために、クッションの役割になる3,4枚の木炭紙を下敷きにします(上図参考)。その上に描くための木炭紙をのせ、カルトンに目玉クリップなどで固定して、イーゼルなどに乗せて描きます。

木炭を楔型に削る

木炭は楔形(くさび形)に尖らせて使います(上図参考)。最初の描きはじめは、先端を使うよりも、木炭をねかせて側面を画面にあて、力を必要以上に加えることのないように描き進めます。描きこむにしたがって、木炭を画面に対して垂直になるように立てて細かい個所を描写します。

木炭紙に定着した木炭は叩いたり、布ではたいたりすると簡単に落とすことができ、色に深みを与えることができます(下図参考)。

木炭紙に木炭を刷り込む

木炭紙は凹凸がつぶれると木炭をその上に描写させることが困難になるため、つぶれないように制作することが求められます。そのため、指やサッピツで意味もなく押さえつけて木炭紙の凹凸をつぶさないようにします。

描かれた木炭を消す道具としては、練り消しゴムを使うようにします。また、食パンを使って消したり、画面に変化を与えることも木炭デッサンでは有効です。

プラスチック消しゴムは画面を傷つけやすいので、最終手段として使用しますが、使用するときは消すというよりも、描かれた黒い箇所を白抜きするように描写する感覚で使用します。

仕上がったデッサンはフィキサチーフ(定着液)を使って定着させましょう。

木炭の芯について

木材の枝を炭化させた木炭には芯があり、デッサンには不向きな性質なため、木炭の芯抜きを使ってきれいにする必要があります。木炭の芯抜きは市販されているので用意しておく必要があります。芯抜きの方法を参照してください。

木炭に関連したアイテム

短くなった木炭はなかなか使う機会がありません。その場合ヤスリなどで粉状にして木炭粉を作成しましょう。 そうすれば市販されている木炭粉を購入せずに好みの木炭粉を用意することができます。

■木炭粉

木炭粉は水などで溶かして、筆を使用したりして描くことができます。

■他に木炭をはさんで長く持つための補助具などがあります。大きな作品を描く場合や、絵を遠目で見て描く時などに使われます。名称は"木炭ホルダー""木炭ばさみ"などと言われます。正直、使用しているところは見たことがないですが、大きな作品を使用する場合に好まれる商品です。

木炭の素材と特徴に関しては、木炭メーカーである伊研のホームページ伊研の画用木炭で詳しくご覧ください。

木炭画材の種類と濃さ-図表

濃い                          
          クワ                
                           
    ヤナギ                    
                           
      高熱ヤナギ                  
                           
              トチ            
                           
                           
                           
                クリ          
                           
                  ハン        
            シナ              
        ウコギ                
                           
                           
                    カバ      
                        ミズキ
                      ホオ    
                           
                           
薄い                          
  軟らかい                     硬い

  …しっとりした炭   …かわいた炭

木炭の濃さ、軟らかさから見るヤナギの利点

たくさんある木炭の中で、多く使われる木炭はヤナギです。

図表で見るようにヤナギが最も軟らかく、クワに次いで濃い色を出すことができます。木炭が軟らかいことで画面を傷めずに描き進めることができます。

また、クワに次いで濃い色を出すことができるので色の表現の幅を拡げることができます。

というわけでヤナギがあれば多くの種類の木炭を用意しなくても描きはじめから仕上げまでデッサンを描き進めることができます。

他の木炭を使い分ける方法

ヤナギで最初から最後まで描き進めていくことはできますが、ほかの木炭の使い途を考えてみましょう。

まず、ヤナギより濃い木炭はクワになります。このクワは濃い部分で活用することができます。最も濃く描く部分を見極めて利用すれば、画面にメリハリが生まれ一味違うデッサンを描くことができます。

また、ホウやミズキなどは、木炭紙の表面を傷つける硬さがありますが、ヤナギでは簡単に表現できない色合い、濃淡を表現できます。

この図表の中でも最も使い勝手が難しいのは中間に位置する木炭といえるでしょう。正直、使っている人を見つけるのは大変なくらい需要がありません。しかし、これらの中間に位置する木炭の特性を研究することで違った風合いのデッサンが生まれる可能性はあるでしょう。

木炭-おススメの画材

伊研 木炭 №660 (柳) 丸軸 太 20本入

ヤナギでできた木炭です。中太軸20本入っているので、十分な研究と制作ができます。
この木炭だけで木炭デッサンをすることができます。描き心地は柔らかく、色が濃い目の木炭になりますが、幅広い色調を生み出すことができます。


伊研 木炭 No830 (柳) 細軸 20本入

ヤナギでできた細軸の木炭です。細かい描写をするときに使い勝手が良いので、多くの人が利用します。


伊研 ミズキ炭 980 細軸 20本入

ミズキでできた硬めの細軸の木炭です。ヤナギとは正反対に硬いのでシャープで繊細な濃淡を表現することができます。


伊研 木炭 №900 (桑)丸軸 中太 6本入

クワでできた木炭はヤナギ木炭よりわずかに濃く、わずかに硬いのが特徴です。デッサン作成の中で最も色の濃い部分などの仕上げに使用できます。

デッサンの道具-目次