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デスケル | デッサンで使うデスケルの使い方と特徴

デスケルとは

デスケルはデッサンや絵画制作で構図を決定したり、対象物の形態を正確に写し取ることを補助したりする道具で、正式にはデッサンスケールと呼びます。

通常デスケルは静物や風景、人物など目の前の対象物を描く際に使用し、具象的な絵画を描くために利用されます。

デスケルの製品

市販されているデスケルの多くは、約115×140mmの四角いプラスチック製の透明な板です。透明な部分には16分割するグリッドが引かれています。

この透明な部分を通して対象物を見ることで構図を探ったり、対象物の形を正確に写し取ることができます。

デスケルを購入するときの注意点

デスケルを購入するときは、四角い透明な部分の縦横の比率と描こうとする絵画の縦横の比率と同じ製品を選ばなければなりません。

木炭紙用のデスケルやB判紙用のデスケルといったように、目的に合わせて購入する必要があります。

デスケル Bサイズ用
出典:Amazon

上図はB判紙で利用されるデスケルです。四角いプラスチックの板の透明な部分の縦横の比率ははB判紙の比率と同様です。

このようにデスケルは制作する絵画の縦横の比率と同じものを使用します

余談ですが、デスケルという道具の利便性からわかるように絵画にとって縦横の比率はとても重要な絵画の特性です。この縦横の比率は絵画の構想を練るうえで重要な要素になります。

デスケルの比率

デスケルは下記に挙げた商品が主に販売されていますが、自分が描こうとする絵画の比率に合うデスケルが販売されていない場合があります。

デスケルの種類 対応する用紙の比率
デスケル B Bサイズ用 B判紙の比率(A判紙同様)=1:√2
デスケル D 木炭紙用 木炭紙=650×500mm
木炭紙の比率=1:1.3
デスケル F6 F6号の規格寸法は=318x410mm
F0・F50は近似比率。
デスケル F8 F8号の規格寸法=380x455mm
F20は近似比率。
デスケル F10 F10の規格サイズ=455x530mm

デスケルの使い方

対象物から構図を探るときはデスケルを対象物に対して平行に向けます。デスケルの黒枠内を絵画画面と見立てて、片方の目で対象物を見ることで構図を探ることができます。

構図が決定され対象物の形態を正確に写しとるときは、枠内を16分割するグリッドを利用します。

デスケルと同様のグリッドを画用紙などの画面上に描いておけば、デスケルを通して見えるグリッドと対象物の位置関係を、画面上のグリッドのなかへ写し取ることができます。

デスケルの原理

対象の構図を決めるためにデスケルを片目の視点と描こうとする対象の間に挟み入れます。その原理は下図のデューラー作『横たわる女を素描する人』を見れば理解できると思います。

デスケルはこの絵画に描かれている”格子のある枠”にあたる小型の道具になります。手元の画面には格子と同様のグリッドが描かれています。

デューラー『横たわる女を素描する人』
デューラー『横たわる女を素描する人』

この絵から想像すると構図はすでに決定されていて、正確に人物の形態を写し取る作業が行われているようです。

対象を正確に写しとるためには、この絵画のように“方目の位置”、"格子の枠の位置"、"対象の人物の位置"を固定する必要があります。

現実的には、この絵画のように格子状の枠(デスケル)を固定させて描くのは難しいので、正確に対象物を写し取ることは難しいことです。

デスケルを使用するときは、デスケルと視点とモチーフの位置はできるだけ動かさないようにしましょう。

デスケルの多用を避ける

初心者でもプロでも構図を決定するために、デスケルやはかり棒は描き始めの段階で多用されます。構図を決定した後は構図や形態の確認作業で段階的にデスケルやはかり棒を使用するようしましょう。

特にデッサン初心者はデスケルを使用し始めると多用しがちになります。構図を見極める場合に非常にデスケルは便利ですが、形態を決定する直観力を養うために、少しずつデスケルの使用を控えていくとよいと思います。

もしデスケルを多用する癖がついてしまったら、はかり棒を使うようにしましょう。こちらの方が直観力が養われます。

より良い構図を吟味するためにはデスケルだけでなくエスキースを行うことをおすすめします。この時、絵画画面の比率が重要であることが理解できます。

エスキースで構図を決定するためには絵画画面の比率を把握しておき、トリミングする必要があるからです。

デスケルの作り方

市販されているデスケルでは、自分が描こうとする絵画の比率に合うものがない場合があります。

それに対処するために、描こうとする絵画の縦横の比率に合ったデスケルを自分で作る必要があります。

デスケルは絵画の縦横の比率が分かっていれば簡単につくることができます。材料は透明なプラスチック製の板を使用するとよいと思います。

グリッドのない枠だけの簡単なデスケルでよければ、厚紙や段ボールで簡単に作ることができます。

デスケル制作の手順

  1. 透明なプラスチック板を既成の商品の大きさ(約115×140mm)を目安にカッター・ナイフでカットします。
  2. 描こうとする絵画の縦と横の比率を計算します。(※デスケル制作の絵画の縦と横の比率
  3. 算出した比率の四角い枠をプラスチック板に油性マジックで引きます。枠の四隅は1.5~2cmくらい残すように枠を作りましょう。
  4. グリッドを作る場合は、枠の中に縦と横にそれぞれ等間隔の3本の線を引きます。
  5. これで完成ですが、枠線の外側の透明部分が気になる場合は、マスキングテープや黒いビニールテープなどで覆い隠します。

デスケル制作の絵画の縦と横の比率

デスケルを自分で作ろうとするときは制作する絵画の縦と横の比率が分かっていなければなりません。この比率を出すのは簡単です。

木炭紙にデッサンを描こうとするとき、木炭紙のサイズが65×50cmの場合、長い方の辺を短い方の辺で割ります。

すると65÷50=1.3になります。これで50cm:65cm=1:1.3の比率であることがわかります。この比率を導き出すことで木炭使用のデスケルを制作することが可能になります。

例えば、横の長さが10cmの木炭紙用のデスケルを作る場合、縦の長さは10×1.3=13cmだとわかります。これで10cm×13cmの木炭使用のデスケルを作ることが可能になります。

では、B3画用紙用のデスケルを作る場合はどうでしょうか。

B3画用紙の大きさは297×420mmです。長い方の辺を短い方の辺で割ると420÷297=1.414になります。これで297×420mm=1:1.414の比率とわかります。

横の長さを5cmにしたB3画用紙用のデスケルを作る場合、縦の長さは5cm×1.414=7.07cmになることが分かります。これで5cm×7.07cmのB3画用紙用のデスケルが作れます。

このような比率の計算はデスケルづくり以外にも重要です。例えばエスキースなどで構図を決める際は比率を考慮しなければなりません。本番の絵画制作の前段階で、小さな用紙に構想を練る場合は制作する絵画の比率をあらかじめ算出しておくと良いでしょう。

デスケル-おススメの画材

アルテージュ デスケル B B列用紙判

■B版紙用サイズのデッサン時、画面構成を決定する時に便利なスケールです。


アルテージュ デスケル D 木炭紙判

■木炭紙サイズのデッサン時、画面構成を決定する時に便利なスケールです。


アルテージュ デスケル F6

■F6号の規格寸法は=318x410mm
F0・F50は近似比率。


アルテージュ デスケル F8

■F8号の規格寸法=380x455mm
F20は近似比率。


アルテージュ デスケル F10

■F10の規格サイズ=455x530mm


アルテージュ デスケル P 絵手紙スケール

■絵手紙スケール


アルテージュ デスケル はかり棒

■はかり棒

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