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アンドリュー・ワイエス『踏みつけられた草』
足と背景の草原との関係をごらんください。ブーツと草原との縁辺の表現を見ると草原側の明度がかなり誇張された表現になっていて、ブーツを前面に押し出していることが分かります。また、誇張された部分は草原という質感は消えつつあり、回りの関係から草原であることは当然分ります。
また、ブーツの底から、上に行くに従い縁辺を誇張した範囲が広がっていることが分ります。これは、ブーツの底の部分は草原と接地していることを表現するためにも、縁辺対比を抑えていることが分ります。そして、上に行くに従い、背景との距離を表現するために、縁辺の対比を利用して、広がりを大きくすることで背景を奥に行かせることに成功させていると見ることができます。
ブーツに眼が行きがちですが、一番前面にあるのは踏みつけられた草で、その草が右足に踏みつけられていて折れ曲がっています。折れ曲がった草の先の方は地面から浮いていてその距離感は描写の描きこみの度合いからうかがい知れます。ここでは縁辺対比をある意味技法としては適用せず、描きこみと背景の描きこみの省略から表現しているようです。
また、黒い部分は透明度があり、逆に白い部分は抵抗感を感させる。その対比を利用して認識力の高まりを感じることができるのが判ります。このように縁辺対比という現象以外にも、ある要素の対比を利用することで描写にシステムを加えることができます。そのようなシステムを構築させることで表現は力を増すと考えられます。 |
この絵から再度、地面と人物との距離感を感じ取ってみてください。直立した人物とドラム缶の背景である地面は適度な距離感をとりながら質感を変え奥へ収まっていっています。そして、右奥の描きこまれた景色によって、人物はバランスがとれていて、全体の間合いやバランスを支える要素となっています。
この絵では人物をとりまく空気感が感じられます。うまく縁辺対比を取り入れ、背景の質感を空気感の表現をもって、素晴らしい空間をつくりだしています。 |