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明度の錯覚と錯視効果

明度の錯覚と錯視効果から感じ取れる心理作用や認知的現象を理解すれば、デッサンや絵画の描き方を飛躍的に発展させることができます。

マッハバンド/マッハの帯(Mach Band)

マッハバンド/マッハの帯(Mach Band)

マッハバンド、またはマッハの帯と言われる図です。WHITEからBLACKの線であらわしたように、輝度が均一な領域が3つあり、それらの輝度を一定割合で変化した輝度勾配領域が結び付けています。 均一な領域から勾配領域の境目に物理的にないはずの勾配を知覚することができます。これらの現象を起こす帯をマッハバンドと言います。

シュブルール錯視(Chevreul illusion)

シュブルール錯視(Chevreul illusion)

シュブルール錯視はWHITEからBLACKの線であらわしたように、階段状に均一な輝度が並んでいるだけです。

物理的に均一な輝度領域の並びであるにもかかわらず、実際には波打って見えています。これは隣接した面が相対的に暗い面の境界は実際より暗く、明るい面の境界は実際より明るく見える認知的現象です。

このことによって、面と面との境界部分が強調され輝度勾配があるような錯覚が生じます。そのために波打って見えています。

クレイク・オブライエン・コーンスイート効果(Craik-O'Brien-Cornsweet effect)

クレイク・オブライエン・コーンスイート効果(Craik-O'Brien-Cornsweet effect)

この図では、左から薄い灰、濃い灰、薄い灰、濃い灰、薄い灰の面が並んでいるように見えます。

しかし、実際にはWHITEからBLACKの線であらわしたように、全体的には同じ輝度で統一され、面と面との境界に輝度の勾配領域があるだけです。勾配領域の輝度が面の均一領域に影響することで、面全体の輝度が境界の輝度勾配の輝度に近づいて見えています。

明度の錯覚と錯視効果からデッサンや絵画に応用するために

これらのように、物理的に正確な数値で作り上げた画像だとしても、人間の認知的要素を無視しては思いもよらない錯覚が生じます。デッサンや絵画を制作する上で、人間の認知的要素や感覚器官を通してどのように物が見えているかを知っていれば、作品制作での表現の幅を広げることもあります。特に知らなくてもいい作品は生まれていますが…

ただ、実際に作品を制作する上で、作品の出来上がりが思うようなものにならない場合、このような認知現象を知らないだけのこと、ということは多くあります。

シュブルール錯視は、縁辺対比と絵画空間でも解説しているので参考にしてください。

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