デッサンと言う礎 | デッサンの描き方と基礎技法 デッサンと言う礎 | デッサンの描き方と基礎技法

絵画教室と教師を見極める

絵画教室では思い通りのデッサンができたり、できなかったり、成功と失敗を体験することができます。そのときの教師のアドバイスを吟味して、自分だけのデッサンの描き方を発見しましょう。

絵画教室でデッサンを見てもらう

絵画教室で学ぶデッサンの初心者は、道具になれることや、パースの描き方などに苦戦して一日が終わることがあると思います。

はじめはスムーズに描きたい理想のデッサンを描くことは難しいですが、そのようなことを経験して、できる限り決められた時間内でデッサンを仕上げて、教師に見てもらうようにしましょう。

このとき一定の時間内で与えられた課題をこなす意識を持つようにし、効率よく課題をこなす描き方を研究するようにしましょう。

描いたデッサンを客観的に見ると、自分で未熟さを感じて恥ずかしい思いをします。しかし、作品を見てもらうことで、上達するためのヒントをもらう事ができます。

同じモチーフを描いた他の人の作品と見比べる事で自分にはないものを発見する事ができることもあります。

デッサンの課題の描き方は自分で見つける

基本的なデッサンの課題にはオーソドックスな手順や描き方がありますが、そのようなデッサンの描き方は自分で発見するようにするとよいでしょう。

なぜならデッサンの課題に対して、手順や描き方を最初から教師に聞くことをせず、自分で考えて制作してみることで造形能力が高められたり、発想方法が開発されたりするからです。

当然、教師は課題の意図を明確にし、デッサンの手順などを教えるべき立場にあるので、不明な点は教師にアドバイスをもらうと良いと思います。

アトリエ、絵画教室によっては、最初から手順や描き方を教えてくれることもあります。その際は素直に従ってみる方がよいと思います。その教師によって何らかの意図が有る場合があります。

そのようにしてデッサンの課題をこなすようになると、絵を描くうえでの目標、テーマが定まってくると思います。

そしてアトリエ、絵画教室は目標、テーマへ近づくための貴重な空間、時間になってくると思います。そんな状態になれば、かなり造形能力が向上しています。

基本的な造形の要素と教師の描き方の判別

絵画教室の教師の教えたいこと、教えていることを見極められるようになりましょう。教師の中には自分独自の描き方を教えている場合があるので注意が必要です。

なぜなら、その教師に教わることで次第に、教師の描く絵に近づいていくからです。

もしも、その教師のような絵を描きたかったのであれば、それは本望なのですが、自分のオリジナルの表現を目指す場合は迷惑でしかありません。

そんな方にとっては、教師自身の描き方を教わる事は非常にマイナスです。

しかし、どこからどこまでがデッサンや絵画、造形における基本的な要素で、どこからどこまでが教師独自の描き方なのかを見極めることは非常に難しいことです。

それを判断するヒントは、描き方に認められる要素は何が狙いなのかということです。"この描き方で自分のテーマ、目的を表現できるのか"ということが判断基準のひとつになるでしょう。

例えば、教師の絵画のテーマが水で、本当に水を描かしたらすばらしいとします。

その教師に教わるあなたが岩をテーマに絵を描いていたとしたら、教師とは違う表現方法をとらなければ表現することは難しいと思います。

そこに、あなたと教師の絵を表現するための絵画の要素の違いが判別できます。

それを見極めることで、"あなたの教師が教師のテーマまでもあなたに教えようとしているのか?"または、"あなたの教師は絵画や造形の要素は教えるけれど、テーマは自分で見つけて表現方法も自分で考えさせようとしているのか?"が分かります。

もし、あなたが前者の教師に教わっているなら、あまり、いい状態ではないことをお伝えします。特にその教師から離れるべきだとはいいませんが、見極めておくことが大切です。

絵がうまくなるには教師の指摘を吟味する謙虚さが大事

美術予備校などの講評では、かなり厳しい指摘がされる場合があります。このとき生徒は教師の言葉を謙虚に受け止め、吟味する必要があります。

その際、教師が絵画を評価した視点がどこにあるのか、まず考えてみてください。

まず、絵画の要素について話しているのか、絵画のテーマやコンセプトにおける表現性について話しているのか、など考慮して話を聞く必要があります。

多くの場合、絵画の要素について話される教師は多くいると思います。

例えば構図やコントラストの問題などが指摘されていきます。これらのことがクリアされていくと絵画のテーマ性やコンセプトに沿った指摘が行われると思います。

テーマやコンセプトに沿う指摘では、基本的な絵画の要素を無視した発言が行われたりします。ここで生徒は混乱する場合があります。

例えば形が正確にあっているにもかかわらず、もっと壊したほうが良いとか、歪んでいるほうが良いとか、教師の個人的な感想と思われることが指摘されます。(このとき教師は生徒のテーマやコンセプトの視点から発言しています)

この言葉を素直に理解できる人は、"テーマやコンセプトに沿った自分の表現ができる人"の部類に位置づけられます。

しかし、この言葉に反発するような人は、まだ、自分のテーマ性やコンセプトが確立されてなく、"なんとなく描いている人"だと思います。このような人は自己批判せず、教師を批判する場合が多くあります。教師への批判は一番楽な一時的な解決方法です。

本来ならば絵画の要素と絵画のテーマやコンセプトの関係性から教師の指摘を吟味して、次の制作に活かしていかなければなりません。

絵画の要素が単純に未熟であったのか、絵画のテーマやコンセプトに合致した要素として実現していなかったのか、絵画のテーマやコンセプトが漠然としていたのか、などを考慮して教師の指摘を謙虚に考えましょう。

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