マンセル表色系を知ろう|色彩デッサンのために
マンセル表色系は知覚的に色の特性を捉えた色立体なので利用価値が高い
色の3属性(色相、明度、彩度)
マンセル表色系は、色彩を色の3属性(色相、明度、彩度)に基づいて色を数値的に表現しています。アメリカの画家、美術教育者であるアルバート・マンセル (1858-1918) によってつくられました。
表色系は用途に応じて様々なものがあります。マンセル表色系は美術、デザイン分野でよく使われる表色系といえるでしょう。 色の性質には色相、明度、彩度があり、色の3属性ともいいます。
色相(Hue)
マンセルの色相環は基本となる5色、
赤 (R) 、
黄 (Y) 、
緑 (G) 、
青 (B) 、
紫 (P)
と中間の5色、
黄赤 (YR)、
黄緑 (GY)、
青緑 (BG)、
青紫 (PB)、
赤紫 (RP)
の合計10色に分割した。さらにそれらの色相を10で分割し、計100色相まで表現することもできる。これを順番に円形に並べたものが色相環といわれる。
色相環では各色の基本5色を5で、10分割した色を10として色名の頭文字に付加して表現する。赤色であれば5R、青緑であれば10BGとなる。100分割した色の場合、それぞれ1~4、6~9と数値が割り当てられる。
色相環上に配列された色票はそれぞれが知覚的に等間隔になるように配列されている。
表示例:5R、2.5Y10G、7.5B、3PB
明度(Value)
明度とは色の明るさを示すものです。白や黒など色を持たないものを無彩色といい、これを基準に明度は決められます。無彩色の中で最も明るい理想的な白を明度の10とし最も暗い理想的な黒を明度0とします。その中間の明るさ、いわゆる灰色に2~9の数字を知覚的に等間隔になるように割り当てられ、最大100分割されます。理想的には白は光の全反射、黒は全吸収するものが物理的な定義ですが、現実的にそれを表現することは不可能なので、白は9.5、黒は1の値を用います。
表示例:8、7.5、6.5、3.8、1.5
彩度(Chroma)
彩度とは色の鮮やかさを示します。彩度は色のない無彩色を0として色の鮮やかさの度合いにより、知覚的に等間隔になるように数字が割り当てられます。最大値は14に設定されます。最も大きい5Rでは14、低い5BGでは10になっています。
3個の属性を合わせた表記方法
有彩色: 色相 明度/彩度
例として色相1YR、明度6、彩度4であれば、1YR 6/4
と表記し「1ワイアール6の4」と読みます。
無彩色:N数値
白と黒の中間的な灰色であれば、N4.5
などと表記します。 画材などにマンセル近似としてこれが表記されている場合があります。
マンセル色立体
この3属性を含めて図形化したものをマンセル色立体といいます。前ページの単純な色立体よりも、純色の明度や彩度の知覚的な数値が違うことでいびつになり、知覚的に色の特性を捉えた色立体になります。
下に用意したものは、マンセル表色系色立体の断面図にあたります。マンセル色立体がいびつなことがわかります。対になるものは反対色になり、補色の関係にあります。補色関係にある場合、一方の色相を強調したり、弱めたりする時に多く用いられ、色彩デッサンでは、この関係を利用することで抑揚がある画面をつくることができます。
他に注目したいのは、それぞれの色相の純色は、明度も彩度も性質が違っていることです。色彩デッサンで明度だけに注意していると、色の彩度をおろそかにしかねません。的確なところに色をおくことは、色の特性を無視しては容易にできることではないでしょう。
R | BG | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
YR | B | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
Y | PB | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
GY
|
P
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
G
|
RP
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
デッサンの描き方と基礎技法-目次