デッサンと言う礎

縁辺対比という現象

明度の境目にある縁辺対比という認知的現象を理解することでデッサンで描くべきポイントが分かります。

明度の境目にある現象

NO.1

NO.2

NO.3

NO.4

NO.5

上の色の変化を見ていただきたいです。特に注目する所は色が変わる境目にあります。

NO.1とNO.2の境目を見ていただくと、明度の高いNO.1はNO.2の境目側で、より明度が高く見えてきます。逆にNO.2でのNO.1側の境目側では、明度がより低く見えてきます。

他の境目でも同様なことがいえ、NO.1~NO.5までの境目での隣り合う明度との差を強調するようになります。このように明度が強調されることで境目が前面に出てきて波を打つように見えてきます。

これは、視覚認知による錯覚で普段私たちが見ている世界はこのような特徴があり、意識してこの部分だけを見ようと思えば容易に見えてきます。

縁辺対比とは二つの異なる明度の形が組み合わさって、その境界の縁の辺りにおこる現象です。その現象は対比する形の明度の差によって違ってきます。

縁辺対比を制御するには

視覚認知による錯覚で明度の対比が多少波を打っているように見えていても、基本的に平面的なものとして私たちには見えています。これをもし、NO.3がもっとも前面でNO.2,NO.4をその背面、更にNO.1,NO,5をその背面に見せるためにはどのようにすればいいのか、考えてみましょう。

簡単な方法としては、大小関係をつければ大きいものが前面に見えてきます。NO.3よりもNO.2,NO.4を小さく、NO.1,NO.5を更に小さくすれば、ある程度の前後感が生まれます。

しかし、今回は大小関係をつけずに、縁辺対比を駆使して、奥行きを表現したいと思います。

前面にしようとするNO.3の背面NO.2とNO.4のNO.3側の縁辺を強調することで奥にあるように見えてきます。つまり、NO.2のNO.3側での明度を今より高くし、NO.4のNO.3側で明度を今より低くすることでNO.3の背面にあるように見えせることができます。

これは、ある前面の背後にある明度差を強調させることによって、前面を強調して押し出すことを可能にします。ここでは、質感は割愛しておりますが、NO.3の背面のNO.2,NO.4の質感を弱めることができれば、より奥行きを感じさせてくることができます。

このような手法によって絵画の画面をシステマティックに構築させることができます。縁辺対比という錯視を画面全体に反映させて絵画を作り上げていくことを可能にします。逆に縁辺対比の錯視の特徴を反転させることでまったく違った画面ができますし、このシステムは糸つの手法で絶対的な絵画の要素ではありません。ただ、あるシステム、考え方を画面に反映させることで画面が構築されていくことを学んでいただきたいと思っています。

次のページでは、実際の絵画から、そのような特徴を見ていただければと思います。

デッサン描き方と基礎技法-目次