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縁辺対比を誇張する

縁辺対比という認知的現象をデッサンや絵画の中で応用できれば空間表現が劇的に変わります。

絵画から読み取れる縁辺対比

レンブラント『ヤコブ・デ・ヘイデン三世』1632年
レンブラント『ヤコブ・デ・ヘイデン三世』1632年

レンブラント『ヤコブ・デ・ヘイデン三世』(白黒画像)1632年
レンブラント『ヤコブ・デ・ヘイデン三世』(白黒画像)1632年

上図は、レンブラントの『ヤコブ・デ・ヘイデン三世』という絵です。

まず、 白黒画像で、人物と背景の明度の変化をご覧ください。

人物と背景との縁辺(境界)付近の表現を見ると、人物と背景の明度がお互いに強まっていることが分かります。

このような表現により人物は前面へ押し出され、背景が後退しているように見えます。

この要因には明度のコントラストを強調する以外に、質感やマチエールの強弱のコントロールの影響があります。

例えば質感やマチエールが強い方が前面へ押し出されて見えます。

この明度や質感のコントラストや強弱の範囲は人物と背景の距離の大きさに従って広がりを感じさせます。

縁辺対比を利用した絵画の構築

レンブラント『30枚の銀貨を返すユダ』1629年
レンブラント『30枚の銀貨を返すユダ』1629年

レンブラント『30枚の銀貨を返すユダ』(白黒画像)1629年
レンブラント『30枚の銀貨を返すユダ』(白黒画像)1629年

上図はレンブラントの『30枚の銀貨を返すユダ』です。

この絵には、さまざまな箇所で縁辺対比の効果が見られます。

例えば赤い線で示したように、柱と背景の縁辺(境界)で明度のコントラストが強調されていることが分かります。

また緑の線で示した人物と背景でも明度のコントラストが強くなっていることを確認できると思います。

しかし明度のコントラストを強調するだけでは、図と地の関係性を表現することは難しいので、地になる背後は、質感と彩度が弱めて描かれます。

このように縁辺対比だけでなく、質感や彩度をコントロールすることで絵画を構築することができます。

参考:明度の錯覚と錯視効果-視覚の認知現象と心理学

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