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分割とプロポーションについて

造形における分割とプロポーションは形の美しさを引き出し、形に統一感を与えます。

分割とは

何かを描写した時、描写した箇所を基点にして画面は分割されます。平面だけでなく、空間に何かを置けばその空間は意識せずとも、置いた場所を基点に分割されます。

例えば、テーブルに花を飾ることで、花へ注がれる視線の高さや角度は変化します。その視線はテーブルに配置するグラスや食器などへ及び、空間を分割します。

部屋の模様替えでも空間が分割されます。この時統一的な空間へ仕上げるのには、テーマやコンセプトが必要になります。例えば南国風の空間、ヨーロッパ調の空間などさまざまに設定できます。その設定されたコンセプトに向けて家具の大きさや配置は変わっていき、分割される線が生まれていきます。

平面も同じようなことがいえます。テーマやコンセプトに従って、画面を分割することで統一的な空間が実現します。さまざまに分割することで生まれる形態が画面を支えることになります。

プロポーションとは

プロポーションは、分割することによって生じた部分と部分の相互関係、または部分と全体の数量的な関係をいいます。それは、形態同士が支えあってプロポーションをつくり、造形全体が形成されることを意味しています。分割とプロポーションは表裏一体で互いに支え合います。

また、プロポーションには造形のバランス、均衡をコントロールするという概念もあります。例えば人体を表現したギリシア彫刻のプロポーションにはバランス、均衡をコントロールする造形的秩序が認められます。

このギリシア彫刻のように秩序のある造形物を作り上げる方法は美的形式原理といわれ、西洋では黄金比や数列が利用されていました。壷や盃、建築などには古くからシンメトリーと分割が組み合わさった美的形式原理により造形的秩序が実現します。

日本では畳や障子などに見られるように、等量分割という美的形式原理が採用されています。

分割とプロポーションは美的形式原理である

分割やプロポーションにおける数理的な定理は、作品における決定的なバランスの良し悪し、美しさ醜さを決めかねないもので、造形的秩序の基点になる美的形式原理です。

しかし、分割とプロポーションという形式的な原理だけに基づいた作品に魅力があるかどうかは疑問があります。

造形作品に魅力を与えるには、分割とプロポーションという形式的な原理が作品のテーマ、コンセプトとどのように関係しているかが重要だと考えます。

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