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筆洗油 | 油絵で使う筆洗油の使い方と特徴

筆洗油とは

油絵の絵筆は使用後、放置すると固まってしまい、再度使用することが困難になります。

絵筆をより良い状態に保つために、使用した筆は油絵具を布などでよく取り除き、専用の油で洗浄しましょう。取り除くことができなかった汚れは石鹸で更に洗浄して乾かします。

洗浄するための油を筆洗油といい、別名ブラシクリーナーといいます。その成分は石油を精製した溶剤で、取り扱い方にコツが多少あります。

筆洗油の種類

筆洗油にはいくつか種類がありますが、液状タイプのものを一種類は用意しておかなければなりません。下記は種類と特性です。

通常の筆洗油
筆を洗うために作られている石油を精製した溶剤です。最も利用されている筆洗油です。
無臭タイプ
石油の独特のにおいを抑えた筆洗油です。無臭タイプの筆洗油は臭いがしないものの揮発しているので換気が必要です。
リンス入りタイプ
リンス効果のある筆洗油で絵筆の品質を保護する効果があります。石鹸での仕上げ洗いが不要とする筆洗油がこのタイプです。
水性タイプ
水性・界面活性剤で絵具を落とすタイプです。臭いがなく、火気の心配はいりませんが、絵具に水分が混ざるので作業中には使用できません。一日の作業後に利用し、絵筆に残った水分を十分乾燥させることで次の制作で使用することができます。
ぺトロール
ぺトロールは石油系の揮発性油で、筆洗油として使用する油では最高級品です。

ぺトロールは軟毛質の高価な動物の毛で作られている絵筆を洗浄するために使用します。精製度が高いぺトロールは描画溶液としても利用されるので、軟毛質の特性を損なうことが少ないと考えられます。
また、絵画の制作中に筆を洗いながら使用するとき、筆洗油が画面へ混入することを避けるためにぺトロールを使用する場合があります。

同じ揮発油のテレピン(ターペンタイン)は植物系なので筆洗には向きません。
灯油
安価な灯油でも筆を洗浄できますが洗浄力が弱く、筆へのダメージがあります。筆を洗浄するために精製されたものではないので、できるだけ使用はやめましょう。

筆洗油と同時に使う画材

筆洗油では落としきれなかった絵具や油を洗浄するためには石けんが必要になります。色々な商品がありますが、石けんがあれば筆洗油で取り除くことができなかった汚れを落とすことができます。

石鹸
筆洗油で洗浄した絵筆には取り残された絵の具が残っています。その絵の具は、石鹸を使って洗浄することができます。石けんは顔や手が洗える泡立ちの良いものを用意しましょう。
ブラシソフター
従来、石鹸で行われていた絵筆洗浄を必要としない保護剤です。筆洗後のトリートメントとしっとりとした柔軟性を与える最高級保護剤として販売されています。使用方法は、筆洗油で洗浄後、石鹸での水洗いをせず、この液に1分ほど浸して軽くふきとります。

筆洗油で絵筆を洗う

筆洗油を使用するために、筆洗器を用意して、その中に筆洗油を入れておく必要があります。

筆洗器に水と筆洗油を入れる方法がありますが、水によって筆洗器の劣化の進行を早めるので、筆洗油だけを筆洗器に入れることをおススメします。

絵筆を筆洗油で洗浄する場合、はじめに絵筆についた絵の具を布や新聞紙でしっかり取り除きます。そして、用意した筆洗油を入れた筆洗器に筆を入れ、筆についている油絵の具をよくすすぎ落とします。さらに筆洗器の穴の開いた仕切りを利用して、絵の具をこそぎ落としていきましょう。

毛の硬さによっては、力を入れすぎて、毛先にダメージを与える場合があるので、力の入れすぎには注意が必要です。

ほとんどの絵具が取り除かれたら、汚れた油分を筆洗器の入り口にある棒でこそぎ落として、さらに絵筆に残った油を布で拭い取ります。

筆洗油で洗浄した筆には、取り除くことができない絵の具がまだ残っています。それを石鹸で再度、洗浄します。石鹸は通常の手洗いに使う固形石鹸で問題ないと思います。石鹸の品質にこだわる場合、弱酸性のものや専用の固形ブラシクリーナーを用意しましょう。

石鹸での洗浄では、まず石鹸を手の中で泡立てます(豚毛などの剛毛の筆なら直接石鹸にあてて泡立ててもよいかもしれません)。そして手のひらの中で絵筆の先を八の字に回転させながら石鹸の泡をなじませます。

石鹸を浸透させると絵具が浮かんでくるので、それらの絵具を絞り出すように取り除いていきます。それを2,3度繰り返すときれいになります。

根本の方に絵具が残ると描き心地が悪くなるので根元もしっかり洗浄してください。

その後、水でよくすすいで、布で水分を取り除きましょう。

筆の形状を整えたのちに自然乾燥させます。このとき筆先を下にして乾かせることで筆の劣化を防ぐことができます。

YouTube動画『油絵で使う絵筆の洗い方』

筆洗油を携帯する

屋外などで制作する場合、筆洗器ごと持ち運ぶのは大変です。

そこで、携帯用に市販されている小型の容器に入っている筆洗油を用意しましょう。多くのメーカーから販売されている携帯用筆洗油は、直接、絵筆を容器の筆洗油に浸して、底にある凹凸で絵の具をこそぎ落として洗浄できます。

油絵を本格的に描くのなら、筆洗油とは別に蓋(ふた)がロックできる筆洗器を用意しましょう。

筆洗油の危険性

筆洗油は石油製品なので、取り扱いには注意が必要です。

揮発性のため、使用中、使用後には換気をしましょう。保存時は、しっかり密閉して、揮発しないようにしましょう。室温や火の気には常に注意する必要があります。

無臭性の筆洗油は臭いがしないものの揮発しているので、使用するときは必ず換気しましょう。

筆洗油の捨て方

筆洗油に入れた筆洗油の取り換え時は、油の粘り気や濁り、臭いなどの変化をみて判断します。

筆洗油に粘り気が出てきたり、液体の透明感が失われてきたり、通常の筆洗油とは違う臭みが出てきたら、筆洗器を掃除して筆洗油を取り替えます。

筆洗油を廃棄するには、発火の恐れがない安全な方法を選択して処理しましょう。

通常、調理用の油を処理する油処理剤、油凝固剤、油吸収パッドなどを利用して、自治体が指定するの廃棄方法に従って処分します。

廃棄する油には発火する成分が含まれている場合があるので、廃棄油に水分を含ませたり、酸素が供給されないように密閉したりして、安全に管理し廃棄しましょう。

筆洗油-おススメの画材

ブラッシクリーナー[クサカベ製]

油絵の筆洗油はこのタイプが最も利用されています。これを使ってみて臭いに耐えられない場合は無臭の製品を試してみるとよいと思います。

  • 洗浄力が高い油絵具の洗浄液です。
  • 筆を痛めない高純度な溶剤を使用しています。
  • 容量…100ml、150ml、500ml、1,000ml、2,000ml、5,000ml
  • 携帯用…100ml(タテ型・ヨコ型)、150ml

無臭クリーナー[クサカベ製]

臭いがない筆洗油です。臭いはありませんが油は揮発するので、使用時は換気する必要があります。

  • 無臭タイプで有害性が低い筆洗油です。
  • 洗浄力がおだやかな洗浄液です。
  • 容量…100ml、150ml、500ml、1,000ml、2,000ml
  • 携帯用…100ml(タテ型・ヨコ型)

筆洗油と同時に使うおススメの画材

カウブランド 赤箱(固形石鹸)

筆洗油で除去しきれなかった汚れと油を石けんを使って洗い流しましょう。

  • 全成分 :石ケン素地、香料、乳脂(牛乳)、スクワラン、水、ステアリン酸、酸化チタン、EDTA-4Na

ブラシソフター(筆毛保護材)

通常、必要のない製品ですが、軟毛の良質の絵筆を洗浄するときなどで使用します。また、筆洗油で洗浄した絵筆を石けんで洗いたくない人も試してみてよいかもしれません。

  • 筆洗後の筆のトリートメントとしっとりとした柔軟性を与える最高級保護剤です。
  • 筆洗液で洗った筆をこの液に約1分間浸すか、少量をすり込み、軽く布で拭き取ります。石鹸で洗う必要はありません。
  • 油彩筆、水彩筆、デザイン筆等で使えます。
  • 良質の毛を使用した筆には特に効果的です。
  • 容量…100ml

ハンドクリーナー(ナイス)

絵筆の洗浄後の手に付着した油絵の具を除去するときに使用するハンドクリーナーです。手を傷めずに絵の具を除去できるのでおススメです。接着力の強いメディウムの除去には、あまり効力はありません。

  • まったく水を必要としない油性絵具用のハンドクリーナーです。
  • 汚れた手に直接つけ、十分に汚れを浮かせてからティッシュなどで拭い取ります。
  • スケッチ旅行、アトリエ等で便利です。
  • 容量…40ml

油絵の道具-目次