画用液について | 油絵で使う画用液
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画用液とは
販売されている油絵具は乾性油(画用液)が練られてつくられているので、画用液を加えることなく描くことができます。
しかし、絵具にさらに画用液を加えることで、絵の具の性質を変化させることができるので、絵画の表現の幅を広げることができます。そのような理由から積極的に画溶液は使用されます。
画用液は描写する前に加えられる場合と、描画後に加えられる場合と大きく2通りに分けることができます。その種類は多いので、段階的に役割を覚えていくようにしましょう。
下記にさまざまな画溶液について使用する目的を簡単に説明します。
油絵を描写するための画用液
描写のための画用液はたくさんありますが、基本的には揮発性油と乾性油があれば十分描くことが可能です。
現代ではペインティングオイルといった調合油が製造されているので、それだけでも十分に描くことができます。
ただ、画肌のこだわりや描き心地、絵の具の乾燥具合などを追及すると調合油だけでは満足することはできません。
初心者は、はじめに揮発性油と乾性油の調合を自分で行うことで、画溶液に慣れていくことになります。
その後、樹脂を油で溶いた描画用ワニスやジェル状の描画用メディウムの使い方を学んでいくと思います。また画溶液の特性を理解するうえでも乾燥促進剤の使用方法も学ぶと良いでしょう。
通常、絵画を描くときに使う画用液は、3、4種類ぐらいです。初心者ならペインティングオイルと揮発性油があれば十分ですが、揮発性油と乾性油を早めに理解しておく必要があります。
マチエールにこだわりがある人は、特殊な画用液やメディウムを使用することで目的に合った描き方を研究する必要があります。
描写する目的と使用する画用液
- キャンバスに描いた下描きの鉛筆や木炭などを定着させる。
画用液:定着液(フィクサチーフ) - 絵具を固化し定着させて、塗膜を堅牢にし耐久力を高める。
画用液:乾性油、調合油 - 絵具に流動性を与え、伸びを良くさせて描きやすくする。
画用液:揮発性油、乾性油、調合油 - 絵具の乾燥を促進させて、作業の効率化を図る。
画用液:乾燥促進剤、調合油(速乾性ペインティングオイル)、ジェル状画用液、描画用ワニス(パンドル) - 絵具の発色を良くしたり、光沢の調整をする。
画用液:描画用ワニス - 絵具を盛り上げて、独特の画肌をつくる。
画用液:ジェル状画用液 - 絵具の透明度を高めて、グレーズ技法などに使用し、独特の画肌をつくる。
画用液:ジェル状画用液、描画用ワニス、揮発性油(スパイクラベンダーオイル) - 絵具に混ぜないが、画面に金箔や紙などを貼る。
画用液:箔置きワニス、アクリル用メディウム(アクリル絵具が使用できる場合)
上を見ると分かるように、難しいことをしなければ、調合油1本あれば、最後まで描くことができます。そして、調合油の性質を変えたい場合には、揮発性油や乾性油を加えて使用することができます。
油絵を描写した後の画用液
油絵を描いた後に使用する画用液は、絵を保護する保護用のタブローというワニスなどがあり、気に入らない個所を剥がしたければ、ストリッパーという剥離剤などがあります。また、加筆するときに画面を描いた時の状態に近づけるルツーセという画用液などがあり、出番は多いものではありません。
絵を描写した後に使用する画用液の主な目的
- 描いて固まった絵具を除去する。
画用液:剥離剤 - 描いて乾燥した絵の画面を描いた時の状態に戻す。
画用液:補正用ワニス - 描いた絵の画面を保護する。
画用液:画面保護用ワニス - 描いた絵の画面を保護したワニスを除去する。
画用液:揮発性油(ぺトロール) - 描くために使用した道具をメンテナンスする。
画用液:筆洗油、揮発性油(ぺトロール)