デッサンと言う礎 | デッサンの描き方と基礎技法 デッサンと言う礎 | デッサンの描き方と基礎技法

画用液の種類と特徴 | 油絵で使う画用液

描くために使う画用液の種類と特徴

絵具と混ぜて使う画用液
使用目的 種類 名前と特性
絵具の粘性の調整 揮発性油
(絵具の流動性が増し、乾燥を早めるが、艶をなくし、定着力を弱くする。中描き、仕上げの使い過ぎは剥離の原因になる。キャンバスに浸透するので、描きはじめに多く使用する。)
テレピン(ターペンタイン)
【用途】下描きに主に使用される。
【粘度】溶解力があり、サラサラしたタッチを生む。長時間空気に接していると酸化重合して黄変し、粘度が増す。
【艶】多く使用するほど艶がなくなる。
【乾燥】早く乾く性質がある。
【成分】松ヤニを蒸留、精製した揮発性油。
【その他】樹脂を溶解するのにすぐれている。ターペンタインとも呼ぶ。
ぺトロール
【用途】下描きに主に使用される。
【粘度】テレピンに比べ溶解力は弱いが、サラサラしたタッチを生む。
【艶】多く使用するほど艶がなくなる。
【乾燥】早く乾く性質がある。
【成分】石油を精製した揮発性油。
【その他】筆洗液や画面保護ワニスの除去にも使われる。
オドレスぺトロール
【用途】下描きに主に使用される。
【粘度】ぺトロールに比べ溶解力は弱いが、サラサラしたタッチを生む。
【艶】多く使用するほど艶がなくなる。
【乾燥】ぺトロールと同じように早く乾く性質があるが、乾燥が穏やかである。
【成分】石油を精製した揮発性油。ぺトロールから石油のにおいの成分が除去され無臭である。
【その他】筆洗液や画面保護ワニスの除去にも使われる。無臭性ですが、揮発はしているので扱いに注意しましょう。
スパイクラベンダーオイル
【用途】界面活性剤様の効果でワニスによる絵具のはじきを防止して、絵具の定着をよくし、グレーズやぼかしに応用される。防腐効果があり、完成画面の洗浄に使用される。
【粘度】溶解力が強く、絵具をクリーム状にして皮膜のムラを解消させる。
【艶】使用度合いにもよるが、控えめな艶消し効果がある。
【乾燥】テレピンに比べて揮発が遅いため乾く速度は遅い。酸化の影響を受けるため樹脂化する。
【成分】地中海沿岸に生息する特定のラベンダーの花や茎から蒸留してつくられる揮発性油。
【その他】黄色透明液体である。
絵具の粘性と艶の調整 乾性油
(絵具は顔料に乾性油で練ってつくられる。油絵具を酸素と反応させることで固まらせ画面にしっかり定着させる成分。艶を与える。)
ポピーオイル
【用途】中描き~明るい色の仕上げに向く。ホワイトの油絵具の固着成分として配合される。
【粘度】油絵具に流動性を与える。
【艶】透明度と光沢がある。
【乾燥】リンシードより乾燥が遅く、塗膜の堅牢さに劣る。
【成分】芥子(ケシ)油。ケシの種子から搾り取られた油を精製。
リンシードオイル
【用途】中描き~暗い色の仕上げに向く。多くの油絵具の固着成分として配合される。
【粘度】油絵具に流動性を与える。
【艶】透明度と光沢がある。
【乾燥】ポピーよりも乾燥が早く、塗膜を堅牢にする。黄変しやすいので白や淡色の絵具にはあまり練られていない。暗所で黄変が進み、光に当たると漂白する性質がある。
【成分】亜麻仁油。亜麻の種子から搾り取られた油を精製。
サンフラワーオイル
【用途】中描き~仕上げに向く。油絵具の固着成分として配合される。
【粘度】油絵具に流動性を与える。
【艶】透明度と光沢がある。
【乾燥】ポピーと同じくらいの乾燥、塗膜の堅牢さはリンシードに劣る。黄変が少なく、乾燥は遅い。
【成分】ベニバナ油。ベニバナの種子から搾り取られた油を精製。
サンシックドリンシードオイル
【用途】中描き~仕上げに向く。
【粘度】高粘度で油絵具に流動性を与える。
【艶】高い透明度と光沢がある。
【乾燥】リンシードよりも乾燥が早く、塗膜を堅牢にする。リンシードより黄変しにくく、ポピーより黄変しやすい。筆跡が残りにくく陶器状の画肌になる。
【成分】日光にさらした亜麻仁油。リンシードオイルを日光に長時間さらして酸化を促進させた自動酸化重合油。
【その他】テンペラ用メディウムの材料になる。
サンシックドポピーオイル
【用途】中描き~仕上げに向く。
【粘度】高粘度で油絵具に流動性を与える。
【艶】高い透明度と光沢がある。
【乾燥】乾燥が早く、塗膜を堅牢にする。筆跡が残りにくく陶器状の画肌になる。
【成分】日光にさらした芥子(ケシ)油。ポピーオイルを日光に長時間さらして酸化を促進させた自動酸化重合油。
【その他】テンペラ用メディウムの材料になる。
スタンドリンシードオイル
【用途】中描き~仕上げに向く。
【粘度】蜂蜜状の高粘度で油絵具に流動性を与える。
【艶】高い透明度と光沢がある。
【乾燥】リンシードと同じくらい乾燥が早く、塗膜を堅牢にする。筆跡が残りにくく柔軟な塗膜になる。リンシードより黄変せず、サンシックドリンシードより黄変する。
【成分】加熱重合亜麻仁油。リンシードオイルを空気を遮断して250〜300℃で加熱重合される。
調合油
(描きはじめから、仕上げまで使用できる。)
ペインティングオイル
【用途】下描き~仕上げまで使用できる。ペインティングオイルはさまざまな種類があるが、基本的に揮発性油と乾性油、そしてダンマル樹脂や合成樹脂が調合される。油を調合する手間が省けるが、油を調整する際は揮発性油を主に使用する。下描き~仕上げへの段階ごとに徐々に揮発性油の使用は控える。
【粘度】すべての製品で適度な粘度がある。粘度はテレピン油などの揮発性油で調整する。
【艶】すべての製品で適度な光沢がある。
【乾燥】調合油にはシッカチーフや合成樹脂、ダンマル樹脂が配合されているので比較的乾燥は早い。速乾性を売りにした製品には合成樹脂やダンマル樹脂が多く配合される。合成樹脂やダンマル樹脂が配合されたペインティングオイルは固まるのが早いため、油壺に入れて使用する場合は取扱いに注意したい。小皿などを使用しても良い。
【成分】揮発性油、乾性油、乾燥促進剤、合成樹脂、ダンマル樹脂などが含有されている。
【その他】扱いやすく、乾燥が早いので、初心者や学生などに需要がある。
ジェル状画用液
(油絵具と練って使用すると効果を発揮する。絵具の硬さはテレピンなどで調整させる)
透明メディウム
【用途】上描きとして使用する。絵具に混ぜると透明度が増す。透明で速乾性がある。
速乾性メディウム
【用途】上描きとして使用する。ジェル状のメディウムは、ほとんどが速乾性ですが、その中でも超速乾性のメディウム。
塑性メディウム
【用途】上描きとして使用する。ジェル状のメディウムは、ほとんどが盛上げ描写ができる。その中でもコシのあるペースト状の盛り上げ用のメディウム。速乾性で艶消し効果がある。 
絵具の艶の調整 描画用ワニス
(描き方や描く目的に応じて使用されるワニス。中描き~仕上げまで使用できるものが多い。ワニスは天然樹脂を溶解して使用される。軟質樹脂は揮発性油で溶解し、硬質樹脂は揮発性油では溶解しないため乾性油で溶解させる。揮発性油系ワニスと乾性油系ワニスに分かれる。)
パンドル
【用途】中描き~上描きに使用される。画溶液を加えたり、単独で使用する。グレーズ技法にも使用される。
【粘度】油の揮発と共に粘りが出る。
【艶】透明度と光沢がある。
【乾燥】乾燥が早く固着力がある。
【成分】ダンマル樹脂、精製ケシ油(ポピーオイル)、石油系溶剤(ぺトロール)、助剤。
グレージングワニス
【用途】中描き~上描きに使用される。絵具と調合して画面の光沢や透明度を調整させる。単独でも使用できる。グレーズ技法に使用される。グレーズ層を重ねる場合、下層より上層の乾性油分を高めれば、下層を溶かさないので描き易い。
【粘度】適度な粘りがある。
【艶】透明度と光沢がある。
【乾燥】適度に乾燥し、固着力や皮膜は乾性油の濃度による。
【成分】ベネチアテレピン、乾性油、精製石油。
ダンマルワニス
【用途】中描き~上描きに使用される。絵具に光沢を与え、グレーズ技法に使用される。高濃度なため各画溶液で調節する。
【粘度】油の揮発と共に粘りが出る。
【艶】透明度と光沢がある。
【乾燥】乾燥が早く固着力がある。
【成分】ダンマル樹脂(軟質樹脂)、テレピン。
【その他】伝統的な古典的処方で再現された樹脂溶剤でテンペラ画にも利用される。軟質樹脂を揮発性油で溶かした揮発性油系ワニスの一種です。
マスチックワニス
【用途】中描き~上描きに使用される。ダンマルワニスと使用目的は同じだが、絵具の伸びをよくするので細密描写に向く。
【粘度】油の揮発と共に粘りが出る。
【艶】透明度があり、柔らかい光沢がある。
【乾燥】乾燥が早く固着力がある。
【成分】マスチック樹脂(軟質樹脂)、テレピン。
【その他】湿気に弱く白濁する。軟質樹脂を揮発性油で溶かした揮発性油系ワニスの一種です。
コーパルワニス
【用途】中描き~上描きに使用される。グレーズ技法にも使用される。
【粘度】乾燥が早く、粘りがある。
【艶】強い光沢になる。
【乾燥】乾燥が早く、固着力があり、非常に強靱な皮膜を作る。使用しすぎは画面に皺をつくる。
【成分】コーパル樹脂(硬質樹脂)、リンシードオイル。
【その他】古典的な調合溶き油。硬質樹脂を乾性油で溶かした乾性油系ワニスの一種です。
ベネチアテレピン
【用途】中描き~上描きに使用される。絵具と調合して画面の光沢や透明度を調整させる。単体では使用せず、基本的にベネチアテレピン+乾性油+揮発性油の組み合わせて使用する。 
【粘度】調合次第で変わる。
【艶】高い透明度と、光沢を与える。
【乾燥】単体での使用は、乾燥を遅くし、塗膜を脆くさせ、黄変しやすい。
【成分】天然樹脂で、ヨーロッパのカラマツから採取された松脂(バルサム)。
絵具の乾燥の調整 乾燥促進剤 ブラウンシッカチーフ(シッカチーフクルトレ)
【用途】絵具の乾燥を早める、少量で効果が得られる油絵具用乾燥促進剤です。使用に際は、溶き油に対しては30%以内、絵具に直接混合するときは10%以内にして、良く練り込む。 濃い茶褐色は乾燥にともない淡くなり、目立たなくなる。
【乾燥】絵具に混ぜれば乾燥促進力は強力だが、使用量を間違えるとシワやヒビ割れなどの原因になる。適切な使用方法なら効果がある。最も強力なコバルト塩は、絵具表面から乾燥を進行させ、マンガン塩は表面と内部の両面から乾燥を促進する。
【成分】コバルト・マンガン系の乾燥促進剤で石油系溶剤。コバルト・マンガンなどの金属塩を調合され茶褐色をしている。
【その他】シッカチーフは発火温度が低いため付着した布や紙が自然発火する恐れがある。焼却したり、多めの水につけて廃棄したい。
ホワイトシッカチーフ(シッカチーフブラン)
【用途】絵具の乾燥を早める、少量で効果が得られる油絵具用乾燥促進剤です。使用に際は、溶き油に対しては30%以内、絵具に直接混合するときは10%以内にして、良く練り込む。白や淡色に適している。
【乾燥】乾燥促進作用が穏やかなので、シワやヒビ割れの心配がない。ブラウンシッカチーフより乾燥促進力は弱いが、油絵具を内部から均一に乾かし、表面変化を起こしにくい穏やかな性質である。
【成分】亜鉛系乾燥促進剤、石油系溶剤。亜鉛塩を成分としていて淡色である。
【その他】シッカチーフは発火温度が低いため付着した布や紙が自然発火する恐れがある。焼却したり、多めの水につけて廃棄したい。
ペースト状乾燥促進剤 バートシッカチーフ
【用途】溶き油を使わない時の油絵具の乾燥促進剤です。シッカチフクルトレをペースト状にしたもので厚塗りに使用できます。使用の際は、油絵具に対し10%以内にして、良く練り込む。
【粘度】ペーストタイプ
【乾燥】絵具に混ぜれば乾燥促進力は強力だが、使用量を間違えるとシワやヒビ割れなどの原因になる。適切な使用方法なら効果がある。最も強力なコバルト塩は、絵具表面から乾燥を進行させ、マンガン塩は表面と内部の両面から乾燥を促進する。
【成分】アルキド樹脂、コバルト・マンガン系の乾燥促進剤、増粘剤。黄褐色半透明ペースト状。
【その他】シッカチーフは発火温度が低いため付着した布や紙が自然発火する恐れがある。焼却したり、多めの水につけて廃棄したい。
絵具と混ぜないで使う画用液
使用目的 種類 名前と特性
画面の艶の復元 補正用ワニス ルツーセ、スプレールツーセ
【用途】加筆するために乾燥した画面の艶を復元させる。艶が退いて鈍くなった色調を蘇らせることで、配色の狂いを防止できる。長期間の制作による作品の艶のばらつきを均一にさせる。
【成分】 ダンマル樹脂をぺトロールで溶解したルツーセと合成樹脂が使用されたスプレータイプのスプレールツーセがある。
金箔の接着 箔置きワニス ゴールドサイズ
【用途】油絵やテンペラ画の画面、または額縁に金箔を接着するための接着剤。テレピンで希釈することができる。
【成分】 コーパル樹脂を重合アマニ油とテレピンで溶解したワニス。

描画後に使用する画用液

絵具と混ぜないで使う画用液
使用目的 種類 名前と特性
画面の保護 画面保護用ワニス タブロー(完全乾燥)
【用途】作品乾燥後の画面を保護して艶を出すワニス。塗膜が強く、塗り替え時の再溶解性に優れている。通気性がないため、使用は作品の完全乾燥後(目安は完成から6~12カ月後)に限り、雨天など湿度の高い日には塗布膜が白く濁ることがあるので避ける。後日、揮発性油(ぺトロール)で古い塗膜を除去し、塗り替えることができる。
【艶】有り。
【成分】合成樹脂、石油系溶剤
【その他】ビン入りとスプレー式がある。
ラピッド タブロー(指触乾燥)
タブロースペシャル(指触乾燥)

【用途】作品の指触乾燥時に画面を保護して艶を出すワニス。指触乾燥時に使用できるように通気性を持たせたていて、作品の表面が乾燥すれば、つや出しワニスとしてすぐに使える。後日、揮発性油(ぺトロール)で古い塗膜を除去することができる。
【艶】有り。
【成分】合成樹脂、石油系溶剤
【その他】ビン入りとスプレー式がある。
サーフェス コート(未乾燥)
【用途】未乾燥の油絵画面を保護するためのワニス。画面に数回吹き付けると、つやのある塗膜ができる。ほこりの付着を防ぎ、作品の持ち運びが容易になる。絵具に乾性油や調合油を混合して描画している場合、内部の乾燥が多少遅れるので注意が必要。
【艶】有り。
【成分】合成樹脂、エチルアルコール
【その他】スプレー式。
ブランマット(完全乾燥)
【用途】作品乾燥後の画面を保護して艶のない画面をつくるワニス。蜜ろうをぺトロールで溶解し、特殊加工シリカを加えたつや消しワニス。作品の完全乾燥後、柔らかい筆か霧吹きで均一に画面に塗布する。タブローとの塗り重ねで半光沢の画面をつくることができる。後日ぺトロールで拭き取り、塗り替えることができる
【艶】無し。
【成分】蜜ろう、特殊加工シリカ、石油系溶剤。
【その他】ビン入り。
スプレー マット タブロー(完全乾燥)
【用途】作品乾燥後の画面を保護して艶のない画面をつくるワニス。タブローに特殊加工シリカを加えてつや消しにしたもの。タブローとの塗り重ねで半光沢の画面をつくることができる。後日ぺトロールで拭き取り、塗り替えることができる。
【艶】無し。
【成分】シリカ、合成樹脂、石油系溶剤。
【その他】スプレー式。
クリスタルバニス
【用途】タブロー同様の利用法であるが、本品はより安定した物性を有している。樹脂溶液としての多様な利用法もある。
【艶】有り。
【その他】ビン入り。
グロッシーバニス
【用途】仕上げ用ニスとして、光沢効果が得られる。仕上げに用いた場合は、塗膜は強じんだが除去は困難。
【艶】有り。
【その他】ビン入り。

その他の画用液

絵具と混ぜないで使う画用液
使用目的 種類 名前と特性
絵具の剥離 剥離剤 ストリッパー、ホルベックス
【用途】固まってしまった絵の具を除去する。キャンバス、パレット、絵筆で使用。肌に触れないように使用する。キャンバス上の絵具を除去した場所は揮発性油できれいにする。
絵具の洗浄 洗浄剤 ブラシクリーナー
【用途】筆洗油ともいい、石油を精製したものが多い。描画中や描画後に絵筆を洗うのに使う。詳しくは筆洗油を参照。
固形ブラシクリーナー
【用途】筆洗油で洗浄した絵筆の後処理に使う。詳しくは筆洗油を参照。
ハンドクリーナー
【用途】手について取れない絵の具を除去するのに使う。
下描きの定着 定着液 フィクサチーフ
【用途】キャンバスに下描きしたパステルや木炭、鉛筆などを定着させる液体。スプレータイプと液体タイプがある。

油絵の道具-目次