手-鉛筆デッサン描き方
学生が描いた鉛筆デッサンの解説です。手の鉛筆デッサンの描き方講座は学生によるデッサンの練習のドキュメントです。この手のデッサンの過程を参考にして独自の描き方を模索しましょう。
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手-鉛筆デッサン[YouTube動画]
手のデッサンの動画と共に、このページのデッサン制作過程の解説も参考にしてください。
※この動画は静止画像の連結動画です。
鉛筆デッサンのモチーフ(手)と画材
手のデッサンを描く時、手の形などの魅力を伝えられる構図を探すことが初めに重要なことです。
その時、何かをしている動きや様子を与えて構図を作ると、より一層魅力的な構図ができることがあります。
今回、テニスボールをつかんでいる様子を描いていきます。
正直、あまり構図を吟味していない感じがあります。もっと魅力的な構図を探すことは重要です。
【サイズ】28×35.5cm
【材料】画用紙[maruman,SOHO SERIES,SOHO200,80sheets]、鉛筆、練り消しゴム、プラスチック消しゴム、ティッシュペーパー、サッピツ
手-鉛筆デッサン描き方・制作過程
手-鉛筆デッサン描き方・制作過程1
描き始めは2Bくらいの柔らかめの鉛筆で描きすすめています。軽くあたりを付けています。
この時、画面の大きさに対して、どれだけモチーフを入れるかが重要なポイントになってきます。
手の形によってできる背景の形は、とても重要な絵画の要素になりますので、何度か下書きをすることも必要です。
手-鉛筆デッサン描き方・制作過程2
画面の中心に実物よりも多少大きく配置しました。その後、ポイントとなる指の位置をきめています。
この時、後で修正がきくぐらいの柔らかめの鉛筆を使用し、筆圧も弱くしています。
背景は、白バックにはせず、同時に描き進めています。
手-鉛筆デッサン描き方・制作過程3
手全体の立体感を出すために陰影を描きすすめています。
ボールはディテールにはあまりこだわらずに球体を表現することを優先しています。
鉛筆の固さはテニスボールと手を意図的に使い分け、違う色や違う質感を描き分けると良いでしょう。柔らかいものは柔らかい鉛筆で固いものは固い鉛筆でというように使い分けるのも一考です。
このぐらいの描き進めは鉛筆を立てず、芯の腹を使い鉛筆を寝かせて描いていきますが、テニスボールと手の質感が出るように描き方を変えています。
手-鉛筆デッサン描き方・制作過程4
手が前面にでるように、背景を暗く設定しています。
背景も一様に同じ鉛筆を使用することなく、固い鉛筆や柔らかい鉛筆を使い分けて描いています。
背景の描写によって、メインである手の存在を希薄にならないことが重要です。ただ、暗くすればいいと考えて塗り絵のようにならないように気をつけなければならないでしょう。
手-鉛筆デッサン描き方・制作過程5
背景は一度ティッシュペーパーで全体のトーンを作って、更に鉛筆で描きすすめています。
この間は、あまり手を描写することはなく、背景を描きながら手全体を前面に押し出していっています。
手-鉛筆デッサン描き方・制作過程6
ここで一度、手の形を見直し、修正を加えています。
親指の位置を修正し、手全体の形の狂いを修正しています。
また、練り消しゴムを使い、手全体の立体感を作ろうとしています。
手-鉛筆デッサン描き方・制作過程7
手全体の陰影を描きすすめています。
手全体の陰影は、立体感を出すと共に、手の質感なども同時に作っています。テニスボールも同様です。
手-鉛筆デッサン描き方・制作過程8
指先を中心に描きすすめています。
指先の爪の部分などは、鉛筆を立てて何度も描きなおすことがないように、一度で質感や形などを決めていけるようにしたいものです。
手-鉛筆デッサン描き方・制作過程9
テニスボールの質感や立体感を十分に出してから、ロゴを描きました。
テニスボールのロゴや線状のへこんだ部分は、あまり一様に描かないように注意しなければなりません。どこを描くべきかを考える必要があるのです。手とテニスボールとの関係でどこを描くべきか、どこを省略するべきかを考えて描き進める必要があります。
このデッサンでは、その辺をもう少し考えるべきところがあります。
手-鉛筆デッサン描き方・制作過程10
手のひらの細かな陰影や質感を作り出しながら手と背景の関係をつくっていっています。
なかなか陰影の部分に濃い色をのせるのは勇気がいることですが、画面全体の奥行きや画面全体の魅力の幅を広げるために、必要な色をしっかり描いていかなければなりません。
背景も同様に濃い鉛筆でトーンを作り出したり、固い鉛筆で荒い部分を整えたりと色々と試行錯誤する必要があります。
手-鉛筆デッサン描き方・制作過程11
背景を徐々に決めていき、腕の部分の修正をしています。
この段階で、かなり形の狂いがあり、すでに修正が困難な箇所があります。
形の狂いは描きすすめることを難しくし、積極的に制作していく姿勢が奪われていきます。細部にとらわれることなく、画面全体に注意が必要で形の狂いにも注意を払いましょう。
手-鉛筆デッサン描き方・制作過程12
最終的にこのような形でデッサンを終了しました。
背景は創作になりますが、メインモチーフとの関係は重要視されます。
手のディテールでは、何度も描きなおすことで判然としない部分があり、陰影においても弱すぎたり形がつぶれている部分があります。
もっと描くべきところを描き、省略するべきところを省略する潔さや思いっきりが必要な印象があります。
また、構図ももっと考える余地があります。
【終了画像】>>>手-鉛筆デッサン