デッサンと言う礎

点・線・面の基本と絵画制作

点と線と面の性質を理解することでデッサンや絵画制作の能力が飛躍的に向上します。具象や抽象問わず絵画や造形物を研究するうえでも点・線・面を理解することは重要です。

点・線・面の関係を理解しよう

点と線と面にはそれぞれに特徴的な性質があり、単体で見るときと複数で見るときと見え方は異なります。

点と線と面の関係を端的にいえば、点と点が結びついて線となり線と線が結びついて面となります。より詳しく点・線・面を考えてみましょう。

点と絵画-01
点と絵画-01

点と絵画-02
点と絵画-02

上図[点と絵画-01][点と絵画-02]のように、点を単体で見たとき、大きさを問わず静止しているように見えます。点が大きくなると見方によっては面として見ることができます。点はある一定の面積を持っているので、すべての点は面でもあることが分かります。

しかし、絵画を成立させるために、点は点としての役割、面は面としての役割を与える必要があります。鑑賞者を視覚的、心理的に誘導するための点の性質を理解して、点の役割を考えてみましょう。

絵画の点と点-01
絵画の点と点-01

上図[絵画の点と点-01]を見ると、同じ大きさの点が3つあります。下の点は明度が上の2つと比較して明るくなっています。この点3つを見たとき、点の関係性をどのように分析するでしょうか?

点が1つだった時と比較すると、複数になったことで、点を交互に見るように目が動くと思います。私は上の2つの点を同価値の点と位置付けて交互に見ます。そして、次に下の明るい点を上の点と同様の形状をした比較的弱弱しい点として認識します。そして再び上部の視認性の強い2つの黒い点へ戻ります。

絵画の点と点-02
絵画の点と点-02

上図[絵画の点と点-02]のように、複数の点が絵画画面にある場合、無意識に二つの点を交互に見るようになり、点同士を結び合わせていきます。このことで視運動が起こるので、画面の中で形態を意識した動きが生まれます。

単なる点を複数配置するだけで動きを画面の中に与えることができるので、そのバリエーションは多岐にわたります。点の大きさを変化させたり、明度を変化させるだけで縦と横の動きだけでなく奥行きのある空間を感じさせることもできます。

このように点は複数の点と関わることで役割を果たしています。この点の関係性から切り離されたとき点は点としての役割は失われます。

線は点と点を結び合わせる表現で、点と点の関係性が明確になります。線は始まりと終わりが感じられ、実線で描かれたり点線で描かれたりします。線の太さの変化、また掠れや濃淡を駆使することで空間感やスピード感を感じさせることも可能です。

絵画の点と線-01
絵画の点と線-01

上図[絵画の点と線01]のような点を画面に配置した場合、見る人に何らかの形態を自由に想起させます。それは星座のように星を点と見立てて、その点を線で結び、形を想起することと似ています。

もしも、明確な形態を伝えたい場合は、点と点を線で結んで形を表現する必要があります。それは、具体的なものであったり、抽象的なものであったりします。

点は線の始点であり、終点でもあるので、点はできる限り省略しないようにします。点は地図に例えれば曲がり角と同様です。曲がり角を失ったら目的地にたどり着くことは難しくなるのと同様に、点を失うと形態を伝えることが難しくなります。

絵画の点と線-02
絵画の点と線-02

絵画の点と線-03
絵画の点と線-03

絵画の点と線-04
絵画の点と線-04

上図[絵画の点と線-02、03、04]のように形態は点を線で結ぶことで表現することができます。このように点だけでは的確に形態を伝えることは難しく、線があることで形態が判別できます。

以上のように点と線の関係を理解すると、省略するべきポイントも理解できるようになります。

例えば点と繋がる線は方向性を示しておけば、設計図のような実線を描く必要はありません。

絵画の線の省略-01
絵画の線の省略-01

上図[絵画の線の省略-01]の三角形を表現するとき、下図[絵画の線の省略-02]のように線を途中で省略することが可能です。

絵画の線の省略-02
絵画の線の省略-02

上図のように線は途中で大胆に省略しても三角形であることが伝わります。このとき形態を判別させる角は点であり、需要なポイントで、省略できないことが分かると思います。この部分は地図に例えれば曲がり角なので、しっかり描いておきましょう。

面は複数の線の結びつきによる関わり方によって感じられる範囲です。それらは、これまでの点と線の関係から理解できると思います。

つまり点は始点と終点を持ち、それらが結ばれれば線となります。線と線がつながり閉じることで面が発生していきます。私たちはすでに点と線の関係性からすでに面を体感しています。

再び点と線から生じる面を下図を参考にして、理解したいと思います。

絵画の面-01
絵画の面-01

上図[絵画の面-01]は、立方体を描くときを想定した時の点の位置です。これらを結び合わせることで立方体が描かれていきます。

絵画の面-02
絵画の面-02

上図[絵画の面-02]のように立方体を表現するために線が結ばれました。線によって閉じられた範囲が見る人に面として認識されます。この図では3つの面ができていることが分かります側面が2つと上面が1つです。

絵画の面-03
絵画の面-03

上図[絵画の面-03]は面に集中するために黒丸のドット(点)を取り除きました。上図からは面を3面認識できます。線遠近法も取り入れて描かれているので、この図は立方体と認識できると思います。

立方体が分かれば、立方体と背景を分ける線が認識されていることになります。その立方体の中にある線によって生じる面は、何らかの質感や特性が付与されます。光を設定すれば3面とも異なる明度が生じるように、線を境に相対的に異なる性質が発見されます。

これらは面によって違うわけですが、その変化の起点は線による境界にあります。

この線は通常のモチーフに描かれているわけではありません。そのため対象(モチーフ)を見るときは、点となる箇所、そして点と点を結ぶ線を想定する必要があります。そして面を形成する線の境界に見られる質感や特質を表現できるようにしましょう。

線によって生まれる形

線によって生まれる面にはさまざまな性質があります。例えば抵抗感があるものとないものに分けることができます。そのため面を線によって囲まれた形として見ると、絵画における線による効果を発見しやすくなります。

この形の性質は多岐にわたりますが、ここでは下に記した線によって生じる形の性質3点を理解したいと思います。

  • 図と地の境界になる線と形
  • モチーフを表現する線と形
  • 構図を形成する線と形

図と地の境界になる線と形

図と地の境界の線と形-01
図と地の境界の線と形-01

上図の石膏像の輪郭を捉えることで図と地に分けることができ、図は線によって囲まれます。

図と地の境界の線と形-02
図と地の境界の線と形-02

図と地の境界を分割する線の表現方法には、制作者の意図が強く表れる部分です。

例えば印象派のように光を表現する筆触分割が行われると、上図のように図と地は、はっきり分割されません。また、空気遠近法を発明したレオナルド・ダ・ビンチのようにスフマートを行うことで、図と地の境界に独自のぼかしを加えることができます。

このように絵画の全体感、空気感といったものが図と地の境界には強く表れます。

モチーフを表現する線と形

モチーフを表現する線と形
モチーフを表現する線と形

石膏像の輪郭の中では、石膏像を特徴づける線と面を認めることができます。この石膏像は、点と線と面の捉え方を訓練するために作られているので、通常の石膏像と比較して、その点は分かりやすいと思います

この石膏像の中の線は複雑に関わりながら形を形成し、石膏像を具体化しています。線は立体の稜線であったり、複雑な細かい部位の表現であることが分かります。

輪郭線と同様に、このモチーフを詳細に表現する線と形の表情によってモチーフ(立方体)の性質、質感は変化します。

構図を形成する線と形

線はモチーフと背景を分けるだけでなく、構図を形成することにも利用されます。石膏像の場合、単純に石膏像と背景の図と地の関係が構図を決定しています。

しかし、モチーフが複雑であったり、抽象的な表現が行われていくと、画面全体を貫く縦や横、斜めや曲線といった動きのある線がさまざまなニュアンスの形をつくり、これらが絵画画面で複雑に組み合わされて構図を形成します。

絵画にある点・線・面を鑑賞する

私たちは通常、意識的に表現された点・線・面を判別させながら絵画を鑑賞することはありません。しかし、絵画を分析するためには点・線・面を意識的に判別して見る必要があります。

このとき点・線・面は明確に区別できる場合とできない場合があります。判別ができない場合は、点・線・面に両義性があるかどうかを疑ってみることをおススメします。つまり点であり線であるとか、線であり面であるとか、複合的な特徴がないか探ってみます。

デッサン描き方と基礎技法-目次