デッサンと言う礎

エスキースとは何か

エスキースは絵画作品の設計図で、作品の完成度を高めるために行います。デッサン制作へ取り掛かる前にもエスキースを行いましょう。モチーフ全体を理解するエスキースについて説明します。

エスキースについて

エスキースとは

エスキースはフランス語(esquisse)で、スケッチや下絵のことを指していいます。本画(本番の絵)を描く前段階で、絵のイメージを描いたものです。本画の前段階で行うため、本画よりも小さいが本画をイメージできる大きさの画面で制作します。

初心者にとってのエスキース

エスキースは本画を描く前に構想段階で描かれるデッサンを応用した下絵のような位置づけです。デッサン初心者は早い段階でエスキースを導入した本画の制作を行うようにしましょう。

これは本画のためにどのような要素を取り入れて、どのように構成しようとするのか、とても重要な作業になります。

例えば静物画などを描くとき、モチーフの構図や明暗のコントラストだけでなく、色彩計画などの構成要素を整理していきます。図と地のバランスも重要になります。テーマに沿った絵画の組み立て方を吟味していきます。

大作を描いていくときにはエスキースの制作手法は段階的に変化していきます。ここではデッサンや絵画の制作工程の一つであるエスキースについて更に学んでいきたいと思います。

大作への発想からエスキースを描く

大作でのエスキースは作品を制作するための着想、発想を描き留めたクロッキー帳やスケッチブックなどを本画の前段階で集約させて作成します。

テーマに沿った色、形などの造形的手段を簡単に設定して、色彩や形態におけるバランス関係を確認し、全体の構図において表現したいものが実現できるかどうかなどをチェックします。

エスキースはテーマのためのさまざまなパターンを構想して作成することが望まれます。作者によって費やされる時間も量も違いますが、設計図的な緻密なものから、全体の明度のバランスや色彩のバランスなどの大まかな部分だけをエスキースする場合もあります。

大作へ向けたエスキースの着想、構想の例

例えば、『平和』を絵画で表現する場合、さまざまな考え、インスピレーションがあるでしょう。それは、漠然としたイメージから具体的なものまでさまざまです。

このとき、発想の原点は日常に潜む中から模索すると良いと思います。例えば戦争などという大きなテーマを直球勝負で挑んだとしても、風刺画のような絵画になってしまい、見る人への共感や説得力は弱いものになってしまいます。

日常からテーマを吟味し、エスキースへ至る前段階で多くの資料を収集したり、日常の生活の中で取材をすることが求められます。その後、更にエスキースの前段階でクロッキー帳などへ何枚か構想を描いていくとよいでしょう。

具象的にするべきか抽象的に描くべきかなど構成方法を決めていかなければなりませんし、色彩の設定や形態の配置など吟味していかなければならないでしょう。

それらの構想を集約させて画用紙などにエスキースを描きます。

本画ではエスキースよりもさらに良い絵を描いていきます。

エスキースから本画へ至るヒント

色彩や明度、形態、マチエールなどのバランスだけをエスキースとして吟味し、それを本画として描き進める中で、インスピレーションによる何らかのイメージ、テーマを付け足して完成させるような場合もあり、その作成手段、方法は作者独自のもので絶対的なものはないといえます。

デッサンとエスキース

デッサンでのエスキースの描き方

アトリエなどのすでに組まれているモチーフをデッサンとして作品に描こうとする場合、特に重視しなければならないのは構図です。構図を吟味するにはモチーフの全体像を本作品よりも小さめのスケッチブックやクロッキー帳に描くことから始めます。デッサン作品が木炭紙ならF6位の大きさが目安で、デッサン作品の半分くらいの大きさが理想的です。

エスキースで初心者にありがちなのが、輪郭線だけ描き、形態だけ吟味している場合や描きたいモチーフの周辺だけを描いている場合があることです。構図を吟味するためには、これから描こうとするデッサンのモチーフ全体を小さい作品として描く必要があり、さらにモチーフの形態だけでなく明暗は最低でも描くと良いと思います。

全体像が描ききれたら、どの部分を本作品としてトリミング(切り取る)するのかを考えます。特に注意したいのはモチーフ全体の大きさ、明暗と配置のバランスなどがあります。デッサンの能力に応じてそのような要素は多岐にわたってきます。

初心者は、モチーフの大きさを小さめに描く傾向があり、小さくまとまってしまうので注意します。また、デッサンをするうえで注意したいことや気づいたことはエスキースにメモしておくようにします。

その所要時間は描く環境やデッサン本作品の大きさにもよります。絵画教室で、すでに組まれたモチーフを木炭紙(65×50cm)にデッサンするような場合などでは20分前後が目安です。それ以上時間がかかるようなら、描きたいモチーフへの魅力を感じていない場合があったり、集中力が散漫になっている場合があるので、一度、席を離れてモチーフ全体やアトリエ全体を客観的に見渡すようにして、気持ちを整えます。

デッサンで使用するべきエスキースでの道具

デッサンのエスキースで描写する道具は、基本的に鉛筆で良いと思います。場合によっては水彩絵具やアクリル絵具、墨などを使用したり、コラージュなどを行います。

エスキースの紙は、多くの場合、クロッキー帳が使用されますが、コラージュや水彩画を併用する場合ではスケッチブックを利用する場合もあります。

エスキースに利用する用紙の大きさは、作品の大きさの半分のサイズは必要です。本画が木炭紙やB2画用紙以下の大きさならば、F6サイズのスケッチブックを用意すると良いと思います。それ以上大きいものを描くならば、それに対応したものを用意しましょう。

F4サイズの画用紙にデッサンを実際に描こうとする場合、エスキースがF6サイズでは大きいと思われるかもしれません。ですがエスキースは描こうとする対象以外の部分も入れてモチーフ全体を描く必要があり、更にプランを練るためのメモを取る余白が必要です。F6サイズくらいが都合が良いです。

そのようにして描かれるエスキースは、作品制作に取り掛かる前の作品の全体像を確認する作業です。この作業で、作品に向けて良い所と悪い所を見つけ、本画のための修正箇所を発見しましょう。

デッサンのエスキースで使うおすすめのクロッキー帳

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デッサンでのエスキースのまとめ

  • デッサン本作品より小さめのクロッキー帳やスケッチブックを用意する。デッサン作品が木炭紙(65×50cm)やB2サイズの用紙以下ならF6ぐらいの大きさ。それ以上では本作品の半分くらいの大きさが理想的。
  • 絵画教室などで行われるエスキースの所要時間は、デッサン作品が木炭紙(65×50cm)くらいなら20分前後が目安。
  • モチーフ全体を小さいデッサン作品として描く。描きたいものだけでなく全体。
  • エスキースに描いた全体像から、描きたいモチーフをトリミングし、大きさや明暗、配置などを吟味する。気づいたことをメモに取り、最初の印象を忘れない。
  • エスキースによって、描きたいデッサンのプランや方向性に間違いがないと確認できたら、デッサンの本画へ取り掛かる。

デッサン描き方と基礎技法-目次