デッサンと言う礎 | デッサンの描き方と基礎技法 デッサンと言う礎 | デッサンの描き方と基礎技法

石膏デッサンを描く理由

石膏デッサンを描くことで、デッサンにおける多くの描き方や基礎能力を引き出すことができ、さまざまな要素を学ぶことができます。

石膏デッサンは必要か?

石膏デッサンの不要論は教育現場で古くからありますが、石膏像をデッサンすることで造形能力を伸ばすことができます。

石膏デッサンと美大・芸大入学試験

石膏デッサンの不要論は以前からあり、美術大学や芸術大学への入学試験の内容で多く論じられているようです。

石膏デッサンはデッサンの要素を理解することができ、造形の能力を高めることができます。

そのため大学入試における石膏デッサンは入学希望者の造形能力を判定しやすいメリットがあります。

しかし、制作者の個性やアーティスト性、創造性を石膏デッサンでは判別しにくいので、大学入試では石膏像を描く能力だけで大学入試の合否判定をすることは難しいのが現状です。

特にその傾向はデザインよりもファインアート系に認められます。

そのようなことから過去と比較して現在では、石膏デッサンを入学試験で課す大学は減りつつあります。

今でも大学の入学試験で石膏デッサンを課題にしている大学では、石膏デッサンによる基本的な造形能力を審査し、2次試験などで生徒自身が持っている特有の能力、アーティスト性を審査する課題が課せられています。

石膏デッサンを課さない大学では造形能力とアーティスト性などを同時に判断できる課題が課せられます。

以上から石膏デッサンを描く能力は美大の入試では最低条件と捉えることもできます。

制作者の個性、アーティスト性を引き出すことができないとしても、デッサンの技術や基本的な造形能力を伸ばすために、石膏デッサンに取り組むことをおすすめします。

石膏デッサンで造形能力を高める

石膏像はデッサンの要素を段階的に学べるモチーフなので、適切な指導が行われれば飛躍的にデッサン力が向上します。

デッサンの要素を理解するために…

石膏像は、デッサンの要素を学び、造形能力を高めるためのモチーフとしては最適です。

石膏像をデッサンすることで得られるメリットは主に3つあるように思います。

第一は、石膏像の多くはギリシア・ローマ時代の理想美・秩序美を追求した有名な彫刻を複製しているので、石膏像の均整のとれた形態の美しさをデッサンを通して学ぶことができることです。

第二は、石膏像は白いので、光による陰影の変化が分かりやすく、形態の起伏を観察する事ができることです。白い石膏像と黒いモチーフを組み合わせる事で陰影だけでなく明度のコントラストも理解することができます。

第三は、石膏像は動かないので、満足するまで何度も石膏像に向き合ってデッサンをする事ができます。その中で効率のよいデッサンの道具の使い方を学ぶことができます。そして、"石膏像の魅力をどのように引き出すのか?"という思索が始まります。石膏像の量感、動き、明暗、構造…それら気が付いた事をどのように画面へ表していくのか考え、何度も何度も挑戦する事ができます。

石膏デッサンは自分なりの課題を一つ一つクリアしていくと、とても楽しい作業になるのでおススメです。

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