デッサンと言う礎

絵画における構成とは?

絵画の構成とはどのようなものか!?デザインの構成と比較して理解しましょう。

絵画の構成

絵画における構成は、制作のための造形手法をテーマや目的に沿って設定することです(※これを総じて構成手法ということがあります)。

造形手法となる要素(造形要素)は色彩、形態、明暗、動勢、マチエール、遠近法、空間性など絵画制作におけるすべての要素になります。

つまり絵画の構成はテーマを表現するために、造形要素をどのように組み合わせて利用していくか、造形手法を設定することです。

そのため、描きはじめに絵画のテーマや目的を設定することが基本で、そのうえで構成手法を考えることになります。

ここで注意したいのは、絵画は具体的な言葉にならない抽象的なイメージの具現化が制作のテーマ、目的とされる場合があることです。

デザインの構成

絵画の構成をさらに理解するために、デザインの観点から造形の構成について考えてみたいと思います。

下記にあるデザインの構成を説明している文章を読んでみてください。

構成とは地面の上に一個の石がある。水に流され運ばれてきたとか、火山の噴火で吹き飛ばされてきたといった状況であれば、自然であって構成とはいわない。その石を拾って、自分の好きな場所に置いたとすれば、それは立派に構成と呼べる。つまり、構成とは人が意識的にものの配列を行うことである。構成の原点は意志を持って、物を置くことである。…中略…構成の発生的観点からすれば<ある目的のためにある素材を組み立てる>ことが構成である。従って、平面、立体、空間などそれぞれの構成があることになる。組み立てる素材を構成エレメントと呼んでいる。構成と呼ぶには条件がある。その条件とは(1)何のための構成か目的がある、(2)構成エレメントがある、(3)構成する技術がある、という3つである。目的は意志という言葉に置き換えてもよい。しかし、条件のいずれが欠けても構成は成り立たない。構成を計画的に行えば、それがデザインである。
視覚表現コンピュータ時代のベーシックデザインより引用】

この文章はデザインの構成の説明としてわかりやすいと思います。

ほとんど絵画とデザインの構成は同様ですが、大きな違いは2つあると思います。

一つは、絵画は抽象的なイメージの具現化がテーマ、目的になる場合があり、デザインのように目的やテーマは具体的でないことです。

もう一つは、絵画はデザインと比較すれば目的やテーマ、制作期限に決まりがないので、自由度が高く、デザインほど計画的ではない場合があることです。

この2つの特徴はデザインが量産され、時代のニーズに合う行動が伴わなければならないことにその要因があると思います。

自由度の高い絵画は時代ごとに絵画構成に特徴があるので、その点から構成についてさらに考えてみます。

時代的区分による絵画構成と特徴

ルネサンス以前から見られる図像学的な絵画構成

美術の形象にある寓意的、象徴的な意味を解明する学問をイコノグラフィー、または図像学と呼びます。

ルネサンス以前からキリスト教や古代神話の美術はテーマや目的によって寓意的、象徴的に構成されています。絵画空間はルネサンス以前は平面的ですが、ルネサンス以後は比較的立体的で奥行きが増します。

シモーネ・マルティーニ『受胎告知』1333年
シモーネ・マルティーニ『受胎告知』

この絵画はシモーネ・マルティーニが1333年に描いた『受胎告知』です。ウフィツィ美術館に収蔵されています。

『受胎告知』は乙女マリアが聖霊によって神の子を身ごもったことを天使ガブリエルから知る瞬間で、キリスト教美術にとって重要なテーマの一つです。

このテーマを絵画として描くとき約束事があります。

例えば、処女であるマリアは必ず聖なる色である青に赤が配している衣装をまとわせる必要があります。そして処女はユリの花で表現され、天使には羽があります。これ以外にも多くの約束があります。

このように『受胎告知』のような宗教絵画は、約束事によって決められている図像が構成されています。

ルネサンス以降に見られる写実的な絵画構成

ルネサンス以降では、絵画は見えるものを再現する写実的な世界(イリュージョン)を表現するようになります。

見える世界を再現するために線遠近法、透視図法、明暗法などの造形要素が構成され、絵画空間は無限の奥行きが感じられるようになりました。

レオナルド・ダ・ヴィンチ『白貂を抱く貴婦人』1490年(伊: Dama con l'ermellino、英: Lady with an Ermine)
レオナルド・ダ・ヴィンチ『白貂を抱く貴婦人』

この絵画はルネサンス期のイタリア人レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた『白貂(しろてん)を抱く貴婦人』です。1489年から1490年ごろにかけて描いたと考えられています。ポーランドのクラクフにある国立美術館に所蔵されています。

この絵はキアロスクーロという明暗法によって構成され写実的に描かれています。ルネサンス期以後はこのように現実味のあるリアルな絵画が盛んに描かれています。

この動物は白貂ではなくフェレットらしいです。

セザンヌ以降に見られる平面的な絵画構成

セザンヌ以降ではテーマや目的が個性的になり、造形要素の取捨選択が自由に行われていきます。

造形要素による独自の絵画空間が目指されるようになると、造形要素は見える世界の再現から自立して構成されるようになり、絵画空間は平面的になります。

ポール・セザンヌ『サント・ヴィクトワール山』1904年,フィラデルフィア美術館
ポール・セザンヌ『サント・ヴィクトワール山』1904年

この絵画はポール・セザンヌによって描かれた『サント・ヴィクトワール山』です。フィラデルフィア美術館に所蔵されています。

この絵には明暗法や線遠近法という写実的に描くための造形要素はありません。形態と色彩はセザンヌ独自の構成手法によって構築されています。平面的な絵画を目指そうという意図を見ることができます。

現代の絵画構成

今日ではこれまでの絵画構成である図像学的構成、写実的構成、セザンヌ以後の構成が自由に取捨選択され構成されて、多様なテーマが展開されています。

特に目に見える世界の再現から自由になった造形要素が構成される抽象的な絵画は現代的な絵画といえます。

構成と構図の違い

絵画制作における構成と構図について違いを理解しているでしょうか?

どちらも英語でcompositionと訳すことができるので、構成と構図を同じ意味として使用しないように注意しなければなりません。

絵画における「構成」は、制作のための造形手法をテーマに沿って設定することでした。

それに対して「構図」は、「構成」されて描かれた絵画に見られる分割された図形を指しています。そして構図も絵画のテーマを構成する造形手法の要素になります。

絵画に見られる図形には、モチーフの形状が大きく関わってきます。画面へ配置されたモチーフは絵画のテーマを伝えるための構図を形成する重要な造形要素です。

構図はモチーフ単体で形成される場合もありますが、モチーフが複合的に絡み合って形成されることもあります。

また構図となる図形は、モチーフに内在している点・線・面、動勢、明度、色彩などが複雑に関係して形成され、リズムやバランス、プロポーションを絵画上に形成します。

構成と構図を理解するための参考サイト

デッサン描き方と基礎技法-目次