トリミングの基本
トリミングは、デッサンや絵画で描く対象をどのように表現するのか考えたうえで、それを実現させるように行います。
絵画の構図とトリミングの考え方[YouTube動画]
絵の構図を決めるトリミングの方法についての解説動画です。
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トリミングとは
トリミングは構図を考える方法の一つです。よい構図で対象を描くために、描く範囲を切り取ることです。
スマートフォンで対象を撮影する際には、どのような大きさや角度で画面に入れるのかを考えていると思います。同じように絵画でも、対象をどのように描くのかを考えることが必要です。
石膏像のトリミング
美術大学の受験生は石膏像を描く機会が多いと思いますが、石膏デッサンには決まった構図があるので、あまり深く構図について考えないのではないでしょうか。
ここでは石膏像ブルータスのトリミングを考えてみましょう。
図1
図1を見ると石膏像を描くうえでは、一番妥当と思われるトリミングかもしれません。石膏像全体の形体が収められていて、無駄にしているスペースも感じられません。頭部右側のスペースも窮屈さを与えず、右側の肩をしっかり入れることで立体感をしっかり表現できそうです。絵の対象を画面から切る時に考える要素として、対象の形状を推測できる範囲内で切ることが良いとよくいわれています。
図2
図2は図1と比べて、かなりズームアップした構図です。肩が切れているが、胸部の大きさを想像できる範囲でトリミングしています。しかし、一般的に石膏像を描くときのトリミングではありません。少し窮屈にも見えるこの構図では、かなり頭部に対する執着を感じます。しかし、石膏像は石膏像全体のマッスやボリューム、またはムーブマンなどが表現されることが求められます。この構図では石膏像のボリュームを表現することが困難です。
図3
図3では、地面との接地部分も入れていて、かなり、背景も入れています。 石膏像が描かれていることは一目瞭然ですが、石膏像よりも背景が主役になりかねません。図である石膏像と地である背景の関係を考えてトリミングすることも必要です。
以上から石膏デッサンは石膏像が主役なので、石膏像が持つ本来の美しさを描くことが一番大事なことになります。そのため、余計な背景はいりませんし、石膏像の美しさを壊すようなトリミングはしてはいけません。石膏像と地面の接地面は必要以上に描く必要もありません。以上を参考にして石膏デッサンでのトリミングや構図を考えるようにしましょう。
絵画と対象の形状から構図を考える
縦に長いモチーフは、縦の画面が収めやすい!?
横に長いモチーフは、横の画面が収めやすい?!
絵画を描くときの画面には縦に長い画面と横に長い画面があります。このとき縦に長い対象を描くときは基本的に縦長の画面にするとよいと思います。横長の対象は横に長い画面になります。
縦に長い対象が縦長の画面に収まりやすい理由の一つは図と地の関係にあります。縦の対象を描くとき、縦長の画面へ描かれた場合と横長の画面へ描かれた場合と比較すると、縦長の画面へ入れた方が地の範囲が少なくなるので、縦長の画面へ描く方が良いと考えられます。
もちろん縦に長い対象を横に長い画面へ描いている場合もあると思いますが、その場合、その絵画にとって何が本当の主役なのか考える必要があります。