黄金分割
造形の秩序を支える美的形式原理である黄金分割を応用しましょう。
黄金分割の歴史
前のページの黄金比で紹介したように、黄金比を利用した分割が歴史的な建造物や美術品に多く見られています。
いつ、誰が、どのような目的を持って使い始めたかは定かではありませんが、この黄金分割に内包される美しさや機能性は神秘的なものともいえるでしょう。
黄金分割の利用は古代エジプトのピラミッドなどの建造物に見られます。
特に有名なのがクフ王のピラミッドで、底辺と高さの比率に使われていると考えられています。
しかし、他のピラミッドが同じように使われているかといえばそうではないようで、確信的に使用されていたのかは定かではありません。
古くから黄金比が内包されている図形として有名なものがペンタグラムでしょう。
この図形がいつから描かれるようになったかは分かりませんが、古代ギリシャ以前には尊重されていたといわれています。
古代ギリシャの数学者でもある哲学者ピタゴラスはサルスピタゴラという名を付けたといわれています。
この中には黄金比が隠れています。例えばEBとEX、EXとXC、FXとXCの組み合わせは共に黄金比です。
この図形は貨幣や護符、呪符として使われています。
古代ギリシャでは、人体の肉体美を表現するために、人体比例として黄金分割を積極的に取り入れ、美しい彫刻を誕生させています。
紀元前5世紀の彫刻家ポリュクレイトスは『カノン』を著し、人体の理想的比率を理論的に追求しました。
このような理想美を追求するための規範を研究し、普遍的な美しさを追及した歴史は、分割とプロポーションを研究することの重要さを物語っています。
もともとカノンは宗教の聖典を意味しますが、美術では規範となる理想の人体比例をカノン(CANON)と呼びます。
ルネサンス期には美の基本的な尺度として、積極的に利用され、作者の感性から切り離され、美を構成するための原理として美術、建築などに応用されています。
下図はレオナルド・ダ・ヴィンチが人体の理想的状態を研究して描いた『ウィトルウィウス的人体図』です。
建築の近代化を推進したル・コルビュジエは、建築の機能性と美を追求する中で、黄金分割の重要性を再認識し、その規範となる「モデュロール」を提案します。
その後、黄金分割は美術、デザイン、建築という分野を超え、さまざまな研究の中で応用されていて、未だに知れない真理を内包した神秘的な力として享受されています。
黄金分割の研究
■黄金分割の比率
黄金比はAとBとの割合がA:B=B:(A+B)の関係をいいます。
その比率はA:B=1:1.618です。
■簡単な黄金分割のつくり方
ABCDは正方形です。この正方形のABの中央のE点を基点にC点へ直線を引き、ABの直線の延長線であるFへ向かって円を描きます。 ABとBFの比率は黄金比になります。
|
|
|
|