デッサンと言う礎

デッサンの意味と目的

デッサンは絵画や造形を見る能力を高めます。そしてデッサンで身につけた絵画の描き方や造形能力は生活を豊かにし、仕事に活かすことができるようになります。

デッサンの一般的な意味と内容

一般的にデッサンという言葉はデザインや絵画、彫刻、アニメーション、建築など多くの分野で使用されています。

日本で使われるデッサン[dessin]はフランス語で、同様の言葉には英語のドローイング[drawing]があります。

日本語では[dessin]も[drawing]も[素描]と訳されます。主に[素描]は文語として使用されていて、人と話す場合は、デッサンまたはドローイングが使われます。

このフランス語のデッサン[dessin]と英語のドローイング[drawing]は、比較すると意味に多少の違いがあります。

デッサン[dessin]

素描、描画、図画、製図、見取り図、模様、意匠、デザイン、落書き、構想、輪郭

ドローイング[drawing]

(軽く)引く、引っぱる、引き寄せる、引く事、引き出す事、(図・線を)引く、写す、(絵を)描く 、線描、線画、図画、図面、製図
※[drawing]は動詞[draw]の現在進行形です。

二つの単語のニュアンスの違いが分かると思います。

一般的にデッサンとドローイングは、上に記した意味として使用すればよいと思います。

ただ専門分野で使用するときには、二つの言葉はさらに意味内容が変化している場合があるので、デッサンとドローイングを明確に区別するようにしましょう。

専門分野で使用されるデッサンやドローイングの定義は歴史、地域、文化などが影響するので一義的ではないと覚えておいてください。

基本的なデッサンの意味を理解できるサイト

デッサンは思考するための言語である

ここからは主に美術の分野におけるデッサンについて深く考えてみます。

現在デッサンは、インターネットや絵画教室、本、カルチャー講座で学ぶことができます。

その目的はさまざまだと思います。"絵が好きでうまくなりたい"という方は多くいると思いますが、"造形の基本を学びたい"という人は少ない方だと思います。

また、絵がうまくなるためにはデッサンを学ばなくてはならないという強迫観念をもっている方もいるのではないでしょうか?

そもそもデッサンの意味と目的は一体何なのか、自分なりに考えてみることは必要かもしれません。

通常、美術におけるデッサンは、何らかの造形作品を制作するための修練の方法で、絵画の一分野です。

また、デッサンの最終的な目的の一つはセンスを磨くことです。それは、洗練された色彩と形態を駆使して自分の感情や考えを生活や社会で表現していけることです。

デッサンによって培われた作風、理論、技能などが、あなたの作品や仕事へ高められれば、作品を取り巻く世界の財産になることでしょう。

しかし、2次元であるデッサンにおいてできることに限界があるように思われます。

デッサンを学ぶことで映像作品や立体作品などに関することをそれほど多く学ぶことができるのか?という疑問です。

しかし建築や立体を設計図として、映像やアニメーションを絵コンテとして平面上に表現することは可能です。

平面は立体的なものや動きをともなう表現を簡単に誰にもわかりやすく伝える道具の一つとして考えることができます。

それは寸法や時間のみならず、感情、思想さえも表現することが可能です。

そのような平面のさまざまな情報は視覚に伝わり、個々の頭の中でイメージとして広がるものなのです。

そして、イメージは3次元の生活の中で応用されていかれるものとなるでしょう。

私たちは通常の生活の中で言語で考え、言語を駆使し、意見を言ったり、冗談を言ったりすることで生活を豊かにし、自分を表現しています。

デッサンは生活を豊かにするセンスを高めるため、また自分を表現する作品を制作するための言語を育て上げてくれるものです。

そのようなデッサンをすることは、表現したいものに達するための思考そのものといえます。

デッサンと文章の比較

デッサンを文章と比較した場合、多くの要素に分けて考えることができます。それを下記の図のように表記してみました。

デッサンと文章の比較 ※これは一つの考え方としての例です。
文章 デッサン
統一されたテーマ、対象 統一されたテーマ、対象
単語、助詞、句読点 点、線、面、色
修飾語 質感、色相、彩度、明度
段落 色彩と形態
文脈 色彩と形態同士の関係、遠近感、量感、動勢
一人称、二人称、三人称、季節、時代 一人称、二人称、三人称、季節、時代
構成原理と心理 構成原理と心理

例えば、文章を形成する小さな要素だと単語や助詞などがあります。それをデッサンでは点や線などとして捉えてみることができます。

日記や小説、論文などの文章を書くときテーマがあり、それを表現するための要素である単語や文脈などが組織的に構築されて形成されていきます。

これと同じようにデッサンではテーマを表現するための造形要素と組織的に構築する構成方法を学び、絵画などの作品を創作することが可能になります。

デッサンは平面で造形要素を学びますが、立体作品へ向けた造形物を生み出すための考え方を身につけることも難しいことではありません。

通常、彫刻や工芸を学ぶ上でも造形能力を養うためにデッサンが行われています。

デッサンをしていく中での理想的なサイクルの例

  1. 表現したいことがある。センスを高めたい。
  2. デッサンをする。
  3. 造形の要素を学ぶ。
  4. 造形における心理に気づく。
  5. 表現するための構成原理を理解する。
  6. テーマや目標に向かった構成手法を手に入れる。
  7. 作品を創作したり、身につけたセンスを生活や仕事に生かす。
  8. 更に、表現するための能力、センスを高める。
  9. 2.にもどる。

ここでは一つのサイクルの例を示しました。

この中で最も重要なことは、あなたがデッサンをする目標です。

絵画を描く目的でデッサンを学ぶのであれば、油絵や水彩、イラストなどの分野へどのようにデッサンを活かせるのか考え、自分なりの創作のテーマを育む必要があります。

よく使われるデッサンの言葉と定義

デッサンの要素
構図、構成、認知現象、コントラスト、バルール、遠近法、心理的効果などたくさんあります。
デッサンのコツ
デッサンの要素を駆使していくことで、説得力、認識力のある描写を実現させることです。
デッサンのポイント
デッサンの絵画空間を実現させるための的確な技法と構成手法の要点です。
デッサンの技法、技術
デッサンの要素を駆使して描くために、画材や道具を使いこなすための方法です。
デッサンの練習
自分のイメージ通りの表現を実現させるために、デッサンの要素を吟味して、デッサンの技法を磨くことです。
デッサンの描き方
自分独自のデッサンの練習方法を確立していくのと同時に確立されていくものです。
デッサン力
独自のテーマや要求された課題のために、必要なデッサンの要素を吟味して、イメージ通りにデッサンを具現化できる技術、技法および総体的な描き方です。

デッサン描き方と基礎技法-目次