デッサンと言う礎

デッサンにおける心得や意識

デッサンの描き方を学ぶための考え方を理解して、感覚的な造形を支える合理的なデッサン力を向上させましょう。

デッサン初心者が描き方を上達させるための心得

デッサン力を向上させる心得

デッサンは造形の基本を学ぶ方法の一つで、油絵や日本画、デザイン、マンガ、アニメーションなどを上達させる分野として知られています。

さらにデッサンは造形能力を高めるだけでなく、美術館などで作品を鑑賞する際の視点になるうえ、日常の視覚的センスも高めていきます。そのようなデッサンの基礎知識や描き方の習得は難しくはありません。

デッサンを学び始めると、思うようにデッサンを描き進めることが困難であることがわかります。そのような問題を解決させるためには『デッサンの道具』の特徴や技法を理解することが重要です。道具の使い方を理解するだけでも初心者は確実にデッサンの能力が上達します。

通常、絵画教室などでデッサンを学ぶ際には、制作の中で道具の使い方も同時に学んでいきます。道具の使い方や存在を知らなかっただけでデッサンが失敗することは多くあります。そのようなことにならないために、どのような道具でどのように描いていくのかを知り、頭の中でデッサンの工程のシミュレーションができるようになると良いと思います。

道具の使い方を理解したら、絵画の基礎的な要素を認識した描き方のコツやポイントを積極的に学習しましょう。闇雲に描くのではなく、『デッサン描き方と基礎技法』をご覧になって、自分の課題を見つけ出すと良いと思います。絵画や造形の要素をしっかり理解することで、他にない独自の作品を制作する準備が整います。

デッサンの課題や題材に向き合う

デッサンの能力を向上させるためには、様々な題材を様々な描き方で描く必要があります。あるモチーフを設定してデッサンを描く中では、多くの戸惑いや躊躇する場面があると思います。制作段階においてさまざまな制作上の問題が生まれ、自分の判断で解決することが求められていきます。

問題解決の手掛かりは道具を使うテクニックと造形の基本となる様々な要素にあります。そのような手がかりから解決方法を自分自身で模索し、自分なりの解決方法を試みることになります、トライ&エラーで問題解決能力を高めていきます。デッサンが上手な人はこの作業を多くこなしています。

また、デッサンの問題解決の手掛かりは多くの制作過程を見ることで発見できます。YOUTUBEにあげられている動画や、制作過程を掲載している当サイトの『デッサン描き方講座』を利用してみてください。当サイトの講座はあるデッサン初心者の練習のドキュメントで絶対的な基礎技法や描き方ではありません。良いところと悪いところが混在しているので、客観的に制作過程を見られるようになりましょう。

デッサン初心者が陥りやすい自己満足

最近ではネットからさまざまなデッサンの描き方を知ることが可能になりました。そのような情報のおかげで、独学でも満足できるレベルにデッサンは上達します。

ただ独学は自己満足を助長する面があるので注意したいところです。

客観的に自分の絵を評価する能力を身につけるには実際に描いたデッサンを見てもらい、意見交換できる場所があると良いと思います。

たとえば絵画教室などを利用すれば、専門家の意見や生徒から感想を聞くことができます。

そして同じ目標を持つ人達の感性に触れて刺激しあうことになり、デッサンだけでない造形に対する創造性を伸ばすことにつながります。

デッサンを独学で学べるのか!?

絵画教室などで学ばず、デッサンを独学で学ぼうとする人は多くいると思います。

もし、写実的な絵画や抽象的な絵画のために、デッサンを学ぼうとするのなら、独学はおススメできません。

ルネサンス以降、研究されてきたデッサンの描き方をインターネットや文献だけで体得することは難しいと思います。

不可能ではありませんが、古典的なデッサンの総体的な能力を高めるためには、絵画教室などの専門的機関で学ぶほうが学習時間は年単位で短縮されます。

抽象絵画なら古典的なデッサンは独学でもよいのではないか?と思う人もいると思います。

しかし抽象絵画は古典的な絵画で研究されてきた造形要素を応用し展開していく側面があるので、古典的なデッサンを理解することは重要です。

マンガやイラスト、絵本におけるデッサン

独学でデッサンを学ぶことはおススメできませんが、例外もあります。

それは自分の個性的な世界観をひたすら追求したいと考える場合です。

たとえばマンガやイラスト、絵本などにみられる個性的な世界観を表現する上では、絵画教室で教わる古典的なデッサンはあまり役立たないかもしれません。

なぜなら通常の絵画教室では、2次元である平面に3次元の世界を表現するためのデッサンの手法を教える傾向があるからです。

そこではマンガやイラスト、絵本にみられる個性的な世界観や二次元的な世界観は否定され、貴重な個性が損なわれる可能性があります。

ただ、リアルなマンガやアニメーションを表現するのなら、古典的なデッサンは理解したほうが良いと思います。

デッサン初心者は造形の要素を意識しよう

初めてデッサンを描くとき、目の前のモチーフを本物そっくりに描きたいと思うのは自然なことだと思います。

一般的に写実的な絵を描きたいという欲求は小学生高学年の頃に生まれます。中学生になると対象を客観的に観察する能力が育ち、10代後半には説得力のある写実的絵画を描けるようになると考えられています。

しかし、絵画を描く能力や造形の基礎能力は、見えるように描きたいという欲求だけでは習得できません。 思い通りのデッサンや絵を描くためには、必要となる造形の要素を知り、それを学ぶ必要があります。

そのためには造形要素を理解しようとする目的意識を持ってデッサンを描くことが絵画などの造形能力を高めるために必要となります。このような造形能力を問われるデッサンを学ぶことで、合理的で論理的な能力が造形表現に求められていることを理解することができます。

しかし、造形は論理的で機械的な作業だけで成り立つものではないので、デッサンによって個性的で感覚的な要素も身につける必要性があります。このような論理的な造形能力と個性的で感覚的な造形要素は相反するようですが、それらが組み合わさり支え合うことで素晴らしいデッサンや造形作品が誕生します。これらを身近なものに例えれば、それは一つの言語を習得することと似ています。

母国語や英語などの言語の習得は論理的な要素だけでなく個性的で感覚的な要素も高めて、日常のコミュニケーションを実現します。それと同様に、デッサンの習得は造形によるコミュニケーション能力を高めて、さまざまな作品を生み出すことを可能にします。

デッサンを言葉として捉えなおしてみる

このサイトではデッサンを理解するために、デッサンを言葉や言語[デッサン=言葉、言語]に例えて考えることがあります。

例えば聞く、話す、書くといった日本語によるコミュニケーションを身につけるには、単語を覚え、言葉を組み立てる文法を覚えなければなりません。更に、あるテーマで話すためには、文を順序立てて構成する能力が必要になります。

これと同様に造形(絵画、彫刻、デザインなど)を見る力、作る力を身につけるには、造形の要素を理解し、それらを構成し組み立てる能力を養わなければなりません。そして、デッサンはその能力を養う最良の方法の一つです。

[デッサンの要素=造形の要素]という図式を頭に入れておきましょう。そして、デッサンの要素を構成する能力は、造形の要素を構成する能力へ展開させてくれます。
[デッサンの要素を構成する能力=造形の要素を構成する能力]という図式もデッサンを学ぶ上で重要です。

デッサンを描くことで学べることが何か、すでに分かると思います。それは、造形の要素を理解することと、その造形の要素を構成する能力になります。

これがデッサンをするうえでの一つの明確な目的です。

後はこの目的に向かってデッサンを学んでいくことになりますが、要素を表現しながら構成していくことは難しく、すぐに思い通りに描けるようにはなりません。それは自分の思いを的確な言葉と論理で人に伝えることの難しさに似ています。

デッサンでのさまざまな要素や構成力を身につけるためには、人間の生理や心理、そして認知科学なども学ぶ必要があり、アートと関係がないと思われることが複雑に絡み合っています。そのようなことも徐々に身につけていくようにしましょう。

このように考えると非常にデッサンは奥深いものですが、デッサンを学ぶ理由や目的によってデッサンの要素や構成方法が異なるため、学ぶべきことは限定されていくでしょう。

例えばデザイン、油画、日本画、彫刻、マンガ、アニメーションと様々なジャンルがあるように、それらを学ぶ上で優先的に身につけるべき造形要素が異なります。

そのように考えたら、多くのデッサンの要素や構成方法を学ぶ必要はありません。気楽な気持ちでデッサンを始めましょう。

デッサンを学ぶ理由や目的から、学ぶべき要素や構成方法はどのようなものか、次に考えてみたいと思います。

デッサン描き方と基礎技法-目次