デッサンから思い通りの作品へ到達するために
デッサンから思い通りの作品へ到達させるには、独自のテーマを実現する造形要素や構成手法を開発させる必要があります。
このページの目次
テーマを表現する手法を手に入れる
あらゆる手法を試みても思い通りに描けないとき、造形要素や構成手法を学びなおそうとする場合があると思います。
そのとき自分独自の作品を制作するために、必ずテーマを意識するように心がけましょう。
もし、テーマがない方は、普段から気になっているものを描いたり、写真などを収集したりして、何に対して自分が興味を持っているかを探っていくと良いと思います。
テーマを吟味したら、あなたの表現手法を手に入れるために何をすればよいか、3つ提案します。
- テーマに合った巨匠の絵画や作品の模写をする[美術史からのトレース作業]
- テーマのための取材をする[インプット作業 ]
- テーマを表現するために、あらゆる表現形態を取り入れてみる[アウトプット作業]
以上のことを各項目ごとに詳しく考えてみます。
テーマに合った巨匠の絵画や作品の模写をする[美術史からのトレース作業]
ある程度の造形能力が備わり、あらためて造形要素や構成手法を学ぶとき、美術史やデザイン史などの中にいる巨匠の作品を参考にすると良いと思います。
美術館にあるような作品から、自分のテーマに合う作家や作品を鑑賞し、その造形の要素や構成手法を分析しましょう。どれも一流の作品にはテーマがあることが分かります。そして、そのテーマを実現するための造形要素や構成手法が駆使されています。
それらの巨匠の作品を模写することによって、そこにある手法を理解するようにしましょう。
この作業によって、あなたが見失っていた造形手法が発見される場合は少なくありません。
そこから得られたものを自分独自のテーマを実現する造形要素や構成手法に変換させていくようにしましょう。そして、それを洗練させる努力を惜しまないでください。
テーマのための取材をする[インプット作業 ]
あなたのテーマが漠然としたものだと、作品として具現化するには困難な場合があります。例えば漠然と『平和』をテーマにしたとしても、それを作品にするには手掛かりが足りません。そのため、より具体的なものを見つけ、より表現がしやすいものを探すようにします。
そこで具体的なものを設定したら、テーマのための取材を行うことが必要です。これによって創造力も同時に育みます。
例えば、あなたのテーマが『廃墟』ならば、廃墟を訪れ取材をします。写真やビデオを撮り、その場でスケッチをしましょう。そして、あなたの五感で感じられたことを記憶しましょう。視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚を駆使し、あらゆることを感じ取るのです。
そのようにして、自分のテーマに沿った題材をインプットしていくことで、その経験も獲得することになります。そして、思いもよらない創造へのヒントが頭に浮かぶはずです。
次にインプットしたものを表現する手法を考えること、アウトプットを次に行います。入念な取材によって得られた具体的な対象により、表現手法を明確にしていきます。
テーマを表現するために、あらゆる表現形態を取り入れてみる[アウトプット作業]
入念な取材によって得られたテーマに沿う題材を表現するために、今まで使用した画材だけでなく必要な素材を考えてみましょう。
『廃墟』をテーマにして得られた題材にある要素は何か考えてみましょう。そして、それを表現するための素材を見つけてみてください。
例えばコラージュをしたり、立体作品を造ってみたり、デッサンだけでなくアクリル絵具でエスキースを描いたり、インプットした情報を具現化できる手法を見つけていきましょう。
この時、見栄えの良い作品を造ろうなどという意識ではなく、インプットしたすべてを出し切るような意識で行うと良いと思います。
それらを後でまとめることなど、たいして難しいことではありません。ここでは取材で得られたすべての要素を出し切るのです。
そこで、思いがけない要素を発見できるかもしれません。すべての要素が出そろったら、それらを構成する手法を吟味していくようにします。
その場合も、取材から得られたことから導かなければなりません。何が重要な構成要素であるかは、あなたにしかわからないことになります。
これらを一度ならず何度も試行して、洗練させていきます。あなたのテーマに対する創造性を具現化させる重要な作業になります。
自分独自の表現形態による、あなた自身が具現化された作品へ
一定の制作手法が獲得でき、多くの人が理解できる効率的なデッサンの要素や構成手法は、それだけでは表現とはいえない段階でした。
その段階は、厳しくとらえれば表現以前の基礎技法ともいえますが、造形の全体像を理解するためには理解することが必要です。そして、それが理解できれば、自然と独自の表現へ移行させることができます。
このページに書かれているように、表現の段階に入ればテーマを持って自分独自の見方を獲得することが必要になります。そのことによって、学んできた要素や構成手法は単なる技法を超えて、あなた独自の表現手法に変貌します。
そして自分独自の表現形態で描かれる作品は、あなた自身を具現化することになります。
デッサンに対する都合の良い考え
今日、造形を学ぶためのデッサンの手法や独自の表現形態を獲得する方法は多岐にわたります。当然ながら、ここに書かれていることが絶対的な手法ではありません。
ですので、ここに書かれていることを忘れてしまっても、デッサンを描くことはできますし、造形の基礎を遅かれ早かれ理解し、あなた独自の表現へ移行できると思います。
しかし、デッサンを通して造形の基礎を学ぶとき、多くの人は都合の良い考えに偏り、自己満足だけの作品を多く生み出してしまいます。
その要因の多くは説得力がない構成手法や、ありふれた都合の良い作者の考え方にあります。
そのようなことに陥らないために重要なことは、あなたが絵で表現したいことは何かということだと思います。