デッサンと言う礎 デッサンと言う礎

固有色と質感が理解できるモチーフ

モチーフには固有色や質感があるので、それらを意識して描くためのモチーフを用意しましょう。

固有色と質感を理解して描く

モチーフの形を正確に描き、光による陰影を表現できたら、思うようなデッサンが描けるようになると思います。

しかし、モチーフの形と陰影だけにこだわると、モチーフにある固有色や質感をおろそかにしかねません。

例えばリンゴを描くときは、ごつごつした球体、光による陰影、そして固有色である赤くて低い明度と皮や果肉の質感を描く必要があります。

このときデッサン初心者に多いのが、『形態と光による陰影、固有色、質感はどのような順番で描けばよいのか?』という質問です。

この質問に言葉で答えるのは簡単ではありませんが、あえて答えれば『すべての要素(形態と光による陰影、固有色、質感など)を意識して同時に描いていく』のが答えです。

また、固有色や質感を意識して表現するための良い練習方法は、固有色と質感の異なるモチーフを組み合わせて描くことです。

例えば白い石膏像の頭部に黒いゴミ袋を被せたり、金属やガラス、布、木材など質感の違うモチーフを組み合わせたりして、固有色と質感の違うモチーフを組み合わせます。

このようなモチーフを描くときは描く目的を明確にして、しっかり描いていきましょう。

モチーフの固有色を意識して描く

モチーフ特有の色彩や明度のことを固有色と呼びますが、モチーフの固有色を意識してデッサンを描くうえでは、異なる固有色を持つモチーフをいくつか組み合わせて描くとよいと思います。

例えば白い石膏像に黒い布を被せたりすれば、石膏像と布の明度や色の違いがわかるので、固有色や明るさを意識してデッサンを描くことができます。

そのようなモチーフの組み合わせによって、モチーフの固有色や明るさの違いをしっかり意識してデッサンを描けるように訓練しましょう。

光を反射するモチーフを描く

ステンレス製のボウル(デッサンのモチーフ)
ステンレス製のボウル(デッサンのモチーフ)

光を反射するモチーフは、反射しないモチーフと比較すると陰影だけを捉えるのは難しいと思います。

ステンレス製のボウルだと、周辺の明るさを反射するので、単に光によって生じる陰影を描けば表現できるものでないことが分かります。

このようにモチーフに映る光は、周囲の状況を映しているので、映るものをよく観察して陰影とともに描いていくようにします。

そしてモチーフのハイライト(もっとも明るい部分)は光源の方向を示す重要な箇所なので、しっかり描くようにしましょう。

光を透過するモチーフを描く

ガラス製のボトルとグラス(デッサンのモチーフ)
ガラス製のボトルとグラス(デッサンのモチーフ)

光を透過するモチーフは、ガラスでできた容器のように光が透過する箇所と反射する箇所があります。

ガラスやプラスチックなどの素材の違いや形状の違いで光の透過の仕方が違うので、モチーフへ差しこんだ光の透過と反射の変化をよく観察して陰影とともに描いていくようにしましょう。

この画像のモチーフの場合、グラスに水が入っているので、水にあたる光の変化や水とグラスの境目などをしっかり描きこむようにしましょう。

質感の違うモチーフを組み合わせて描く

質感の違うモチーフを組み合わせる
質感の違うモチーフを組み合わせる

写真のようにモチーフの固有色、明るさが同じでも、質感が違えば、その違いを描き分けなければなりません。

その描写力を鍛えるためには、質感の異なるモチーフを組み合わせて描き分ける訓練が必要になります。

例えば白い布と白い紙は全く質感が違います。

2つのモチーフを組み合わせてデッサンをするとき、固有色や明るさは似ているので、布と紙の質感の違いを描き分けなければなりません。

このとき手触りや重さなどを感じることで、見た目ではわからない2つのモチーフを描き分けるためのヒントがあります。

質感はマチエールの表現につながりますし、重量はモチーフとモチーフの接地箇所に変化が表れたりします。

そしてモチーフの面の変わり目(稜線)や端部は、そのモチーフ独特の質感を感じさせる特徴があるので、しっかり観察して描き分けるようにしましょう。

2022年3月21日執筆公開

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