デッサンと言う礎 | デッサンの描き方と基礎技法 デッサンと言う礎 | デッサンの描き方と基礎技法

細密描写の能力を高めるモチーフ

総合的なデッサンの描写力がついてきたら、更に絵画制作の能力を高めるために細密デッサンを行います。

細密描写で表現の幅を広げる

写実絵画が描きたい人は鑑賞者を魅了するために、細密描写の能力を高める必要があります。

また細密描写は細密に描かれていない部分との対比で絵画表現に多様性を生じさせるので、さまざまな絵画に応用される技術でもあります。

初心者のなかには、写真を模写すれば細密描写の能力が高まると考えている人もいますが、細密描写は写真を見てそっくりに描く能力とは違い、実物を見て描くことで高度な技術が養われます。

はじめは小さいモチーフを用意して細密デッサンを行うとよいでしょう。

クルミを描く

クルミ(デッサンのモチーフ)
クルミ(デッサンのモチーフ)

初めて細密デッサンをおこなう人におススメするのはクルミです。

手頃な大きさで保管が楽なので、気が向いたときにいつでも描くことができると思います。

クルミは小さい球体ですが、細かく凸凹していて、固有色の明度が低いので簡単に描くことはできないと思います。

描き方は様々で絶対的な描き方はありませんが、基本となる手法は、クルミ全体のベースとなる陰影と固有色を鉛筆で描写していき、そのボリュームなどの全体感を維持しながら細部を描写することです。

参考ページ

『手とクルミのデッサン』

松ぼっくりを描く

松ぼっくり(デッサンのモチーフ)
松ぼっくり(デッサンのモチーフ)

松ぼっくりは球体状のモチーフですが、クルミとは多少違うと思います。

突起した部分がひとつひとつ離れているので、それらを描き分ける必要があります。

松ぼっくりを描くコツは全体の手前と奥、突起した部分の起点と終点を意識して描き分けることです。

絶対的な描き方はないのでさまざまな方法を試してください。

目を描く

目(デッサンのモチーフ)
目(デッサンのモチーフ)

人物を写実的に描くとき、もっとも難しいのは目だと思います。

目から感じられる潤いや光沢、ガラスのような質感が描き分けられるようになれば、細密描写とともに質感表現の能力も高まるでしょう。

ここでも美術解剖学は必須の知識なので、眼球にかかわる解剖学の知識を頭に入れて細密描写するようにしてください。

靴を描く

靴(デッサンのモチーフ)
靴(デッサンのモチーフ)

靴はこれまでのモチーフと比較すると大きくなりますが、細密描写の訓練で養った能力を試すのには良いモチーフです。

陰影によって生じる秩序やモチーフの固有色、質感の表現をしながら細密描写によって密度を高めてください。

ここで特に試してほしいのは、細密に描く個所と少し手を抜いて描く個所を意識して描き分けることです。

うまく描き分けることができれば絵画表現にメリハリが生まれ、描かれた靴に前後感などの動きを与えることができます。

細密に描く個所は、絵にするための重要なポイントになります。参考ページからデッサンのポイントについて考えてみてください。

参考ページ

『デッサンのポイントを探る』

『鉛筆デッサン-靴』

パイナップルを描く

パイナップル(デッサンのモチーフ)
パイナップル(デッサンのモチーフ)

ここでも陰影によって生じる秩序やパイナップルの固有色、質感を表現しながら、さらに細密描写によって密度の高いデッサンを目指してください。

しかしパイナップルの球体でゴツゴツした凸凹がある表面をすべて描こうとしたら大変なので、メリハリのある細密描写を心がけましょう。

葉の部分も様々な方向を向いているので、動きを与えるために細密に描くところと描かないところを描き分けていきしょう。

参考ページ

『鉛筆デッサン-パイナップル』

2022年3月27日執筆公開

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