デッサンと言う礎 | デッサンの描き方と基礎技法 デッサンと言う礎 | デッサンの描き方と基礎技法

美術解剖学が理解できるモチーフ

人物デッサンを描くためには美術解剖学を理解することが重要です。はじめは手や顔のデッサンから初めて、人体全身のデッサンが描けるようになりましょう。

人物を描くために準備する

モチーフの形態、モチーフにあたる光によって生じる陰影の変化、モチーフの固有色と質感を描く方法を身につけられたでしょうか!?

すぐにうまくはならないので、今までの訓練を踏まえながら徐々に向上していきましょう。

今までは無機的なモチーフが多かったと思いますが、今度は有機的なモチーフを描いていきます。

身近にある有機的なモチーフは人体です。

レオナルド・ダ・ヴィンチ『腕の骨格』1510年頃
レオナルド・ダ・ヴィンチ『腕の骨格』1510年頃

これから人体を描いていきますが、描く前に理解しておきたいのが上の図のように人体を研究した美術解剖学です。

美術解剖学は人体や動物の器官や組織を研究する人体解剖学、動物解剖学を美術製作のために応用した学問です。

人物を描くためには、特に人体の骨や筋肉の構造と役割を理解することが求められます。

それらを学ぶことで、効率よく説得力のある人物画を描くことができるようになります。

美術解剖学を理解していない人物画は表面的で薄っぺらい印象がぬぐえないので、少しずつでも人体の骨や筋肉の構造と役割を理解するようにしましょう。

はじめは顔や手の骨と筋肉の構造や役割を理解するようにしましょう。

手を描く

ヘンリー・グレイ『手の骨格』1918年
ヘンリー・グレイ『左手の骨格』1918年

上の図はヘンリー・グレイが研究した解剖学の医学書にある左手の骨格の挿絵です。

美術解剖学の場合、この挿絵に書かれているような情報量をすべて暗記する必要はなく、おおまかに重要な箇所を理解するとよいと思います。

最近ではわかりやすい美術解剖学の書籍や動画が普及しているので、それらを活用するとよいと思います。

手(デッサンのモチーフ)
手(デッサンのモチーフ)

手は最も身近にあって、さまざまなポーズができる最高のモチーフです。

上の画像は30分で描いた手のデッサンです。

手を描いてみると、手の骨や筋肉が作り出す形や動きを理解することが、デッサンでは必要であることが分かります。

退屈で何か描きたい時は、手のデッサンを描くとよいでしょう。

参考ページでは30分間で描いた手のクロッキーについて解説しています。

参考ページ

『手のクロッキーで画力を向上させる』

自画像を描く

手のデッサンが思うように描けるようになってきたら、鏡を用意して自分の顔を描いていきましょう。

頭蓋骨(デッサンのモチーフ)
頭蓋骨(デッサンのモチーフ)

頭部を描くためには、画像のような頭蓋骨の構造を知り、眼球や鼻の軟骨、筋肉などの構造をさらに理解するようにしましょう。

頭部を描くときの基本は頭部全体のボリュームを保ちながら、目や鼻、口などの部位を描いていくことです。

頭蓋骨を想起させることができるくらいの自画像が描けるとよいと思います。

自分の全身像を描く

手や顔に関する骨や筋肉の動きを理解して描くと、描写力が飛躍的に向上することが分かると思います。

次の段階では、自分の全身を写す鏡を用意して全身像を描くことに挑戦してください。

人体解剖学で学ぶ範囲は人体全部に及びますが、はじめは人体の胸部や腰部、腕部、脚部などの大きな構造と動きについて学ぶとよいと思います。

スタンドミラーを用意する

はじめは自分自身がモデルになるので、デッサンを描く最中に全身像がすべて見える大きな鏡を用意しましょう。

おススメの美術解剖学の本

スカルプターのための美術解剖学

人間の体を簡潔に解説している美術解剖学の参考書です。1,000点を超える図版を掲載し、250枚を超える写真に描き加えたイラストによって、体表下の筋肉やシェイプを明らかにします。

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2022年3月21日執筆公開

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