木炭紙 | デッサンで使う木炭紙の使い方と特徴
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木炭紙とは
木炭紙は木炭デッサンで使われる専用の紙です。通常の画用紙では木炭の粉の定着が良くないので、木炭の粉の定着を良くするために、木炭紙の表面には筋状の凹凸の加工が施されています。木炭紙は木炭の粉の定着を良くするうえ、表現の幅を広げます。
木炭紙の特徴
木炭紙は、基本的に木炭デッサンで使用されますが、鉛筆やチャコールペンシル、パステルなどとの併用が可能です。
木炭紙で特徴的なのは表面に規則的に筋状の凸凹が並んでいることです。木炭デッサンはこの凹凸によって木炭の粉の定着を良くし豊かな表現を可能にしてくれます。
市販されている木炭紙には、MBM木炭紙(キャンソン社製、アルジョマリー社製)、キャンソン木炭紙(キャンソン社製)、アトリエ木炭紙(ミューズ社製)があります。よく使用されるのはMBM木炭紙の厚口です。
木炭紙のサイズ
単位[mm]
- MBM木炭紙=500×650
- キャンソン木炭紙=500×650
- アトリエ木炭紙=500×650
- MBM木炭紙(倍判)=650×1000
- MBMパッド=230×310、260×360
通常販売されている木炭紙のサイズは木炭紙判と呼ばれ、[500mm×650mm]の大きさを意味します。
MBM木炭紙には他に、倍判サイズの[650mm×1000mm]とMBMパッドの[230mm×310mm][260mm×360mm]の2種類があります。
木炭紙の厚さ
単位[g/m²]
- MBM木炭紙(厚口)=105
- MBM木炭紙(特厚口)=130
- キャンソン木炭紙=100
- キャンソン木炭紙=125
- アトリエ木炭紙=107
- MBM木炭紙(倍判)=105
- MBMパッド=105
木炭紙の厚さは通常[坪量(つぼりょう)]という単位で表示されます。
坪量(つぼりょう)は1m²当たりの1枚の紙の重量で[g/m²]で表示されます。数値が低いほど薄く、高いほど厚くなります。 同じ重量の紙でも原料が異なると厚さは違います。
※MBM木炭紙の倍判サイズは[130g/m²]から[105g/m²]へ変更されています。
木炭紙の原料
- MBM木炭紙=コットン(75%)とセルロースが使用された中性紙です。
- キャンソン木炭紙=コットン(60%)とセルロースが使用された中性紙で、紙色は純白に近い色に着色されています。
- アトリエ木炭紙=ウッドパルプ(100%)が使用された中性紙で、紙色は薄いクリーム色をしています。
木炭紙はメーカーによって原料が違うので紙の厚さや紙の密度は分かりづらい面があります。
木炭紙の使い方
カルトンに木炭紙を敷くときには、上図のように木炭紙を4、5枚下敷きにします。このとき新聞紙を下敷きにする方法もありますが、平らで柔軟な描画画面を実現するために木炭紙を下敷きにしましょう。
木炭紙を固定するときは目玉クリップで固定します。画鋲で固定する方法もありますが、画鋲は木炭紙に穴をあけ、木炭紙が裂ける要因になるのでやめましょう。
MBM木炭紙を使用する場合は、下図のように透けてMBMと読める方を表にして使用します。
木炭紙の凹凸を活かす
木炭紙と木炭で描かれるデッサンは奥が深いものです。その豊かな表現を引き出すには、木炭紙の凹凸を活かした描き方を研究する必要があります。
木炭紙にある筋状の凹凸は、潰れてしまうとデッサンの表現が狭まるので、傷まないように描き進める必要があります。
しかし慎重になりすぎて消極的な描き方になることでも、木炭デッサンの魅力を引き出すことができません。意外と木炭紙は強い紙なので大胆な描画方法を行って、木炭紙の強度と表現の限界を研究しましょう。
描画する木炭は基本的に軟らかくて濃い色の出せるヤナギの木炭を使用します。硬い木炭は木炭紙の表面を傷つけるので多用しないようにします。
下図は木炭紙にヤナギの木炭で描き重ねています。木炭の粉は浮いているので簡単に取り除くことができる状態です。
木炭デッサンは描写するだけでなく、木炭紙にのせた木炭を消したり、刷り込んだりすることで、豊かな表現を実現することができます。この行為は油画を描くのと酷似しているため油画の描き方に影響を与えます。
下図のように定着していない木炭の粉は、布で押さえつけたり、叩いたりして画面に変化を与えることができます。
木炭の粉を木炭紙に刷り込む作業では、綿布以外に、サッピツや指なども使います。この作業も木炭紙の表面の凹凸を傷つけるので、できるだけ計画的に行います。
木炭デッサンの消し具には食パンや練り消しゴム、プラスチック消しゴムなどが使用されます。木炭紙を傷めないためにプラスチック消しゴムや練り消しゴムの多用は避けます。
制作された木炭デッサンは木炭の定着が弱いので、しっかり定着させて保存するために、フィキサチーフ(定着液)を最後にかけて、木炭の粉を木炭紙に定着させる必要があります。
木炭紙の比較
MBM木炭紙
MBM木炭紙(アルジョマリー社製)は中性紙で最高級木炭紙です。日本では一番需要のある木炭紙です。
原料にコットン(75%)とセルロースが使用されています。75%コットンが入っているので表面が強く、木炭の伸びが良いので好みのグラデーションが得られます。
105g木炭紙判1枚の値段は300円前後です。
サイズと厚さは下記のとおりです。
105g/m²/木炭紙判(500mm×650mm)【厚口】
130g/m²/木炭紙判(500mm×650mm)【特厚口】
105g/m²/倍判(650mm×1000mm)【厚口】
105g/m²/MBMパッド[230mm×310mm]【厚口】
105g/m²/MBMパッド[260mm×360mm]【厚口】
キャンソン木炭紙
キャンソン木炭紙はフランスのキャンソン社製の高級木炭紙です。
原料にコットン(60%)とセルロースが使用された中性紙です。ナチュラルホワイト色をしていて、紙の表面の凹凸は規則的で、紙肌は強く弾力性に富んでいます。木炭ののりが良く、目つぶれ、毛羽立ちが出ず、練消しゴムの使用に適しています。
100g木炭紙判1枚の値段は200円前後です。
サイズと厚さは下記のとおりです。
100g/m²/木炭紙判(500mm×650mm)
125g/m²/木炭紙判(500mm×650mm)
アトリエ木炭紙
アトリエ木炭紙は日本の製紙メーカーのミューズ社が製造している国産木炭紙です。
ウッドパルプ(100%)を原料とした中性紙です。薄いクリーム色をしていて、紙の表面の凹凸は、荒目の紙肌があります。木炭ののりが良く、目つぶれ、毛羽立ち、裂けがありません。
1枚の値段は100円前後です。
サイズと厚さは下記のとおりです。
107g/m²/木炭紙判(500mm×650mm)
木炭紙-おススメの画材
MBM木炭紙厚口105g木炭紙判
木炭デッサンを行うときはMBM木炭紙の厚口をおススメします。日本ではMBM製の木炭紙(厚口)が最も利用されています。
斤量:105g
寸法:木炭紙判(500mm×650mm)
MBM木炭紙特厚口130g木炭紙判
特厚口のMBM木炭紙はあまり使われませんが、描き方によっては利用価値があります。
斤量:130g
寸法:木炭紙判(500mm×650mm)
アトリエ木炭紙
初心者で描く数を多くこなしたい方には、比較的安いアトリエ木炭紙もよいと思います。
斤量:107g
寸法:木炭紙判(500mm×650mm)
参考サイト
- 木炭紙,武蔵野美術大学 造形ファイル,2020年05月02日閲覧.