水張りテープ | デッサンで使う水張りテープの使い方と特徴
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水張りテープとは
水張りテープは木製パネルに画用紙を水張りするときに使用される道具です。主に水彩画や日本画などで行われ、鉛筆デッサンでは通常行うことはありません。
水張りテープは通常3cm前後の幅の帯状の紙で、片側の面に糊が塗布されています。糊面に水分を含ませると乾いた糊が活性化し粘着状になります。糊には強い接着力があるので、これを利用して木製パネルに画用紙を固定させることができます。
水張りテープ
水張りテープに水を与えて糊面を活性化させる
水張りをする利点
固定されていない画用紙に、水彩画などの水分を含む描写を行うと、画用紙にしわやよれ、たわみが生じてしまいます。
それを防止するために、木製パネルやベニヤ板などに紙を固定させる水張りが行われます。この水張りには、水張りテープが必要になります。
通常のデッサンにおいては水張りテープで画用紙を固定することはありませんが、安定した画面で鉛筆デッサンを描きたい場合や水墨画のような画法で描く場合は水張りテープによって画面を安定させる必要があります。
水張りの仕組み
画用紙に水を含ませると乾いた状態よりも伸びて広がります。この画用紙を木製パネルに水張りテープで張り付けて固定します。画用紙の水分が乾くことで起きる収縮力で、たわみやよれのない状態の画用紙をパネルに張ることができます。
その水張りの方法は下記に記しています。
水張りテープの種類
水張りテープは色と幅の広さによって多くの種類があります。30m~50mほどの長さがあり上図のように巻かれて販売されています。
通常固定する場合には一番安い茶色が最も購入される色ですが、白、グレー、黒、緑などの色の製品も販売されています。展示するときに水張りテープの色が見える場合には水張りテープの色を製作段階で考慮する必要があります。
水張りテープの幅は25mm、30mm、38mm、50mm、75mmのものが販売されていますが、通常25mmのものを用意すればよいでしょう。
水によって伸びた紙は乾くときに強い力で縮むので、大きな画面の紙や伸縮の大きい紙を水張りする場合は、幅の広い水張りテープで対応するようにしましょう。
YouTube動画『水張りテープの使い方と特徴』
水張りテープを一度も使ったことがない人は、この動画で水張りテープの使い方と特徴を理解しましょう。
水張りで必要な道具
水張りテープによって水張りする場合には、他に用意するものがあるので以下にまとめておきます。
- 木製パネル、またはシナベニア合板(5mm厚以上)
- 画用紙を張り付ける土台になります。
- ボウル、または水入れ
- 紙に含ませる水、水張りテープの糊面に水分を与えるために清潔な水を入れて用意します。
- ハサミ
- 水張りテープを切るために使用します。
- カッター、定規
- 画用紙の大きさを調節させるために使用します。
- 水刷毛(日本画に使用される純羊毛製で、B2画用紙の水張りには10cm程の幅が必要です)
- 画用紙と水張りテープの糊面に水を与えるために使用します。
- 清潔な綿製の布(30×30cmくらい)
- 水を十分含ませた画用紙は強度が弱いので布をあてがって扱うようにします。例えば水を含んだ画用紙を木製パネル上に置いたあと、画用紙をパネルに密着させるために布をあてがって押し広げます。そして、パネルの側面に画用紙を巻き込んだり、水張りテープを木枠に密着させるときに布をあてがうと作業が簡単にできます。
- 木製パネルのアク取り用の雑巾
- 木製パネルや合板の表面にはアクがあるので、それを拭い取るために使用します。ラワン材はシナ材よりもアクの量が多いので、できるだけ使用しないようにしましょう。ラワン材を使用する場合はアク止めをするとよいと思います。アク止めには水性ウレタン塗料を塗布する方法があります。
水張りの方法
描きたい大きさの木製パネルに画用紙を水張りする
- 水平の台の上に、描こうとする大きさの木製パネルを用意し、湿らせた雑巾などでパネルの表面をきれいにします。これによって、木製パネルにあるアクが紙に付着することを防げます。
- 木製パネルよりもひとまわり大きな紙(パネルが50×65cmの場合、紙は52×67cm)と、その4辺の長さより多少5、6センチ程長い水張りテープをハサミで切り用意しておきます。使わない水張りテープは湿気に弱いためビニール袋に入れて保存しましょう。
- 水入れに清潔な水を入れて用意します。水刷毛を使い、紙の裏面を水で十分湿らせてなじませます。水が吸収できなくなる飽和状態まで水を行き渡らせます。水を与えることで紙が反り返りますが、この状態ではまだ水量が足らないので、紙の反り返りが水平に戻るまで十分に水を紙に吸い込ませます。紙の対角線上の2つの角をつまみ持ち上げることで水を紙全体に行き渡らせることができます。
- 紙に十分水が行き渡りなじんだら、濡らした裏面の方をパネルの中央に配置します清潔な綿製の布をあてがいながら、パネルの中央から側面へ画用紙を押し広げていき、パネルからはみ出した画用紙の縁の部分を折り曲げていきます。このとき十分に水が紙に吸い込まれていれば紙が膨張しているので、あまり力を入れる必要はありません。
- 水張りテープの糊面に水刷毛で水分を加えて活性化させ、固定させていきます。紙の四辺をすべて固定させて、パネル全体の水分をよく乾燥させれば出来上がります。
木製パネルより小さい画用紙を平張りする
木製パネルよりも小さい紙を水張りする場合、紙の固定はパネルや合板などの板材の表面に固定します。これが平張りです。
平張りは、水張りテープで接着させる糊代の面積分を考慮した画用紙を用意します。
平張りする土台は木製パネルよりも厚めの合板がおススメです。木製パネルは表面が薄く傷みやすいのであまりおススメできません。できるだけ平張りは厚めの合板で行いましょう。
木材から出るアクを考慮するとシナ材でできた合板がおススメです。
Youtube動画『失敗しない水張りの方法』
水張りを始めたら、途中でやめることができないので、計画的に行いましょう。
水張りテープ-おススメの画材
ミューズ 水張りテープ 25mmx45m ベ-ジュ CTN2
■このサイズの水張りテープで、B2程度までの大きさの画用紙の水張りに対応できると思います。
- カラー:クラフト
- サイズ(約):幅25mm×長45m巻
水張りの道具
木製パネル シナベニヤパネル B2 (728×515mm) 厚み24mm
■シナベニヤ板は、黄白色でアクの発生はほとんどない素材になります。枠とシナベニヤ材の接着に耐水性接着剤が使用されているので水張りに安心して使用できます。
主に木製パネルはラワンベニヤかシナベニヤが使用されますが、シナベニヤを選ぶようにしましょう。ラワンベニヤはアクが出てくるので画用紙を汚し、傷める原因になります。
- 桟(厚さ:20mm、幅:17mm)
- 桟:ゴムの木 パネル:シナ材
- 水張り、ファブリックパネルとしても使用できます。
ナムラ 刷毛 B印 絵刷毛 25号
水張り・水引き・絵刷毛等、多用途に使える羊毛製刷毛です。刷毛の種類は多くありますが、水張りには羊毛を使用するようにしましょう。水の含みや水張りテープへの水の含ませ具合などは羊毛が最も効果を発揮してくれます。
- サイズ: 穂先サイズ:75×35mm
- 筆の固さ: やわらかい
- 素材: 羊毛
- 絵具の含み: おおい
- 使用用途: デザイン・日本画