デッサンと言う礎 | デッサンの描き方と基礎技法 デッサンと言う礎 | デッサンの描き方と基礎技法

イーゼル | デッサンで使うイーゼルの使い方と特徴

イーゼルとは

イーゼルは絵画を制作するときの基底材(キャンバスや画板、スケッチブック)を固定する支持体で『画架』とも呼ばれます。デッサンや絵画で使われるイーゼルは野外用や室内用などがあり、大きさや材質はさまざまにあります。作品を展示するときやディスプレイなどにも利用されています。

デッサンにイーゼルは必要か?

デッサンやスケッチは短時間で描かれる場合と長時間にわたって描かれる場合があります。

ラフスケッチや簡単なクロッキーなどの場合、スケッチブックなどを手に持ちながら描くことが多いと思います。

しかし長時間にわたって対象を描くためには、イーゼルを利用するべきでしょう。

イーゼルにスケッチブックや画板を固定すれば、対象と制作画面に集中することができます。

イーゼルの種類

イーゼルの種類には下記のようなものがあります。

  • 室内用イーゼル[三脚型]
  • 室内用イーゼル[H型]
  • 屋外用イーゼル
  • 卓上用イーゼル

室内用イーゼル[三脚型]

三脚型の室内用イーゼル

一番シンプルなイーゼルは上図のような三脚型で地面三点を支えます。使われる素材によって異なりますが、軽量で持ち運びは容易です。奥の一脚を手前に折りたたむことができるので15cmほどの隙間に保管することができます。

デッサンで最も多く利用されているイーゼルは、この三脚型です。基底材(スケッチブックや画板)を支える受け台はネジで固定されていますが、高さと角度は調整することができます。奥の一脚を手前に引くことで基底材を垂直近くへ立てて作業することもできます。

このイーゼルは木材やアルミニウム、鉄などで作られています。木材で作られたものが主流ですが、高価なものだとアルミ製の製品もあります。鉄製は重いので重量のある基底材を載せるときに安定感が期待できます。

室内用イーゼル[H型]

室内型のアトリエイーゼル

室内用イーゼル[H型]はH字型に設計されているところからH型イーゼルと呼ばれます。アトリエ用イーゼルやスタジオ・イーゼルとも呼ばれます。

H型の室内イーゼルは上図のように地面四点を支えます。簡単な構造で小型のものから大型のものまでさまざまにあり、上図は主に油画を制作するときに利用される大型のイーゼルです。

大型のものは重量がありますが、角度や向きなどの微調整が可能です。キャスターが付いていたり、水平にできる製品もあります。

屋外用イーゼル

屋外用イーゼル
出典:Amazon

屋外用イーゼルはスケッチ・イーゼルとも呼ばれます。通常、三脚型でアルミや樹脂などが素材に使用されているので、室内用より軽量でコンパクトです。水平にできる製品もあります。

室内で行われるクロッキー会でもイーゼルが設置されていないときに、屋外用イーゼルを持参して使う場合があります。

卓上イーゼル

卓上イーゼル
出典:Amazon

卓上イーゼルはテーブルに置いて使用できる小型のイーゼルで机上イーゼルやテーブル・イーゼルとも呼ばれます。用途はさまざまですが、使用するときはテーブルにしっかり固定する必要があります。

イーゼルの選び方

イーゼルには屋外用のものと室内用のものがあります。文字通り野外で制作を行う場合は野外用イーゼルを使い、室内で制作を行う場合は室内用イーゼルを使います。

室内用のイーゼルを購入するときは、描く状況に合わせたイーゼルを選ぶようにします。制作するときには、立ちながら描く場合もあれば、椅子に座って描く場合もあります。地べたに座り込んで描くときもあるかもしれません。それは製作する意図や、制作環境でさまざまに変わります。自分に合う高さのイーゼルを探してください。

また、描きたい絵の大きさに対応できるイーゼルを使用しなければなりません。イーゼルには対応する絵画の大きさ(F30号対応など)が設定されているので、自分が描こうとする絵画の大きさに合わせてイーゼルを選びましょう。

下図のようなイーゼルはデッサン用ですが油彩の制作にも利用でき、かなり良い部類のイーゼルになります。

このイーゼルは作品を上から固定できるように設計されているので安定感があります。制作上、固定部分が邪魔になる場合もあるので取り外しできる製品を選びましょう。

デッサン・イーゼル
出典:Amazon

イーゼルの大きさの目安

  • 高さ90cm前後…地べたに近い高さに座って描く場合のイーゼルの大きさです。それ以外にはあまり使われませんし、大きい作品を制作するには向きません。
  • 高さ120cm前後…通常、普通のいす(学校の教室にある椅子の高さ)に座って描く場合のイーゼルの大きさです。立って描くには低すぎますが、小回りがきき、簡単なデッサンには最適です。F15号、木炭紙大までなら安定して利用できます。
  • 高さ150cm前後…立って描く場合に最低必要なイーゼルの高さです。座って描くときには安定して使用できます。F20号~F30号くらいの大きい作品に挑戦するときにも役立ちます。
  • 高さ180cm前後…立って描く場合や大きな作品を描くときに使い勝手の良いイーゼルです。F50号以上の大きさの作品を描こうとしたら必要になるかもしれません。

※注意:油画を描くとき油画制作用のイーゼルを使用するほうが便利です。しかし高価なのでデッサンイーゼルで代用する場合が多くあります。絵画教室などのアトリエ、美大受験予備校などでは、基本的に揃えてあるものはデッサン用イーゼルです。

イーゼルの使い方

イーゼルの配置

イーゼルの配置は、描きやすさが肝心
イーゼルの配置

イーゼルは、モチーフとイーゼルに立てかけた画面が、体や頭を動かさずに目の動きだけで比較できる配置にしましょう。

右利きの場合はイーゼルが右側にあり、モチーフを左側から見るような配置になります。左利きは、イーゼルが左側になりモチーフを右から見ます。ためしに逆に置いて描いてみれば、描きやすいのがどちらかわかると思います。

からだ全体はイーゼル方向に向く姿勢になると思いますが、この点は自分の描きやすい方向があるかもしれません。ただ、背筋は伸ばし、モチーフを観察する眼の位置は常に同じ位置を確保できるようにしなければなりません。

イーゼルの画面の高さと角度

イーゼルの高さは、画面の中心を見る視線が画面と90度になるようにして、画面全体がしっかりと見渡せる高さに固定しましょう。

また、描くたびに姿勢を崩さないように背筋を伸ばしてモチーフを見ることが必要です。画面もその姿勢でしっかりモチーフと比較できる高さでなければなりません。描くときに画面全体を支配できる配置が理想です。

画面が大きい場合は描き進めていく中で画面の位置を調節する場合もあるかもしれません。

高さの調整ができたら、イーゼルの画板を受ける土台が水平になっているか確認しましょう。

デスケルや測り棒の見方と画面との比較

デスケルや測り棒を使用するときは、視線をデスケルや測り棒に対して90度に交わるように持ち、視点が変化しないように背筋を伸ばして片目で見ます。

デスケルは肘を曲げて構図を決めるので不安定な面があります。あまりデスケルには頼らず補助的に使用するようにしましょう。比較的測り棒の方が腕を伸ばして使用できるので安定した作業ができます。

イーゼルに立てかけた画面を確認しながらデスケルや測り棒を使用できれば制作作業はスムーズに行えます。

イーゼル-おススメの画材

ホルベイン デッサンイーゼル No.2000M ブラウン

油絵からデッサンまで使用できる実用タイプです。

最大対応画面サイズ : ヨコF30
本体寸法(cm) : H120×W53.5×D46.5
画布受け(画板を受ける土台)(cm) : W55×D(内寸)4
高さ調節機構 : ノブボルト固定調節
本体重量 : 約2.9kg
材質 : ポプラ材
塗装 : ブラウン


ホルベイン デッサンイーゼル No.2000L

油絵からデッサンまで使用できます。7色の色があります。

最大対応画面サイズ : ヨコF60号
本体寸法(cm) : H152×W61×D58
画布受け(画板を受ける土台)(cm) : W59×D(内寸)4
高さ調節機構 : ノブボルト固定調節
本体重量 : 約3.4kg
材質 : ポプラ材


ホルベイン デッサンイーゼル T120-DX

油絵からデッサンまで使用できる実用タイプです。60mm巾×28mm厚の部材で堅牢に組み立てられたデッサンイーゼルです。画布受け台は、差込み棒で固定され落下することがありません。後脚の開き角度が調節できます。キャンバス押え付きで、F100縦サイズまで安定して製作できます。

最大対応画面サイズ : タテF100号
本体寸法(cm) : H188×W64.6×D0~90
画布受け(画板を受ける土台)(cm) : W70×D(内寸)5.6
本体重量 : 7.55kg
材質 : ポプラ材

デッサンの道具-目次