クロッキー初心者が人物クロッキー会へ参加する方法
クロッキー初心者は人物クロッキー会へ参加するために最低限必要なマナーを理解しておきましょう。
このページの目次
人物クロッキー会への参加方法[YouTube動画]
人物クロッキー会へ参加するための手順やマナーなどについて解説している動画です。
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人物デッサン上達のための人物クロッキー
デッサンで人物を描くのは難しいものです。
苦手意識がある人は、人体の筋肉や骨格による形状を理解するとよいと思います。
人物の筋肉や骨格が理解できると、身につけた衣服のなかの人体を感じさせることもできるようになります。
筋肉や骨格以外にも、目、鼻、口、髪の毛などの質感表現や陰影表現は想像以上に難しいので、人物を描くのは簡単ではありません。
さらに私たちは人物を普段から見慣れているので、描かれた人物表現に違和感があると、すぐに分かってしまいます。
このように難しい人物デッサンの技術力や感性を高める近道は人物クロッキーを描くことです。
人物クロッキーでは人体の筋肉や骨格の構造や動き、プロポーションを理解しながら、多くの枚数の絵画を描くことができるので、人物表現を向上させることができます。
人物クロッキー会への参加とその流れ
人物クロッキーを数多く行うには人物クロッキー会へ参加するのが一番良いと思います。
人物クロッキー会はさまざまな形態があるので、自分に合うクロッキー会を 『全国のクロッキー会 一覧』から探してみてください。
クロッキー会への参加方法の流れ
- クロッキー会をインターネットなどで探す
- クロッキー会の日時を確認して申し込む
- クロッキー会で必要な道具を準備して参加する
クロッキー会を探すときに確認すること
- 会場所在地…クロッキー会が開催される場所をしっかり確認しましょう。当日に間違わないように!
- モデルの特徴…着衣モデル、ヌードモデル、ムービング、複合ダブルモデル、外国人、男、女などモデルの特徴を確認し、目的に合うクロッキー会を探しましょう。
- クロッキー会の時間…通常のクロッキー会は休憩とポーズの時間を合計して2時間30分くらいです。準備と片付けなど前後10分くらい余裕があるとよいと思います。良い場所の確保のためには早めに行きましょう。
- 開催時期…単発で行われる不定期のクロッキー会がありますが、できれば定期的に開催されているクロッキー会をおすすめします。
- 設備…イーゼル、カルトン(画板)、椅子、机などが会場に用意されているか事前に確認しましょう。電話やメールで問い合わせるとよいと思います。設備が何もなければ、立ちながらクロッキー帳を持って描くことになります。
- 指導の有無…指導や講評は多くのクロッキー会にはありません。指導を受けたい人は指導が受けられるクロッキー会へ参加しましょう。
- 参加料金…参加料金は開催地域やクロッキー会の趣旨によって違いがあります。通常1,500円から2,000円ほどです。学割があるクロッキー会もあります。
- 参加方法…参加方法は当日直接行く場合と予約する場合があります。参加方法がはっきりわからない場合は問い合わせましょう。
特に注意したいのは設備と参加方法です。参加したいと思ったら、設備の状況と参加方法を同時に問い合わせるとよいと思います。
人物クロッキー会における主な学習内容
人物クロッキーは、1~20分くらいの短時間のポーズや瞬間のポーズ、連続したポーズ、動きのあるポーズ(ムービング)などさまざまなポーズをモデルがしてくれます。それらの魅力あるフォルムや動き、リズム感、印象を瞬時に捉え描写し表現していかなければなりません。
それは、画面全体のバランス、重心なども考慮して描かなければならず。無駄な線がないように努力する必要があります。
描きはじめは形を捉えていきます。用意したクロッキー帳に人物をどのくらいの大きさでどの位置に配置するか構図も瞬時に考えます。
このとき線で人物全体を捉えていくことが人物クロッキーではオーソドックスな手法になります。何故、線で描くのかはさまざまな理由があります。例えば短時間で人物の量感や動きを表現するために線で描く方が効率よく、線の太さや強弱で空間を表現できる点があげられます。
短時間による人物クロッキーは意識的描写から無意識的な描写へ移行する段階が制作過程では見られます。その時描かれた線の形態の美しさは長時間で描かれる人物デッサンでは表れないもので、感性そのものが表出した描写になります。
枚数を重ね、人物クロッキーに慣れてくると、線だけではなく陰影描写や色彩描写へ徐々に移行していきます。この段階へ到達するにはかなり熟練した技能が必要になります。その技能は裁判の状況を描く法廷画家くらいの技能が必要になります。線での表現が稚拙な人が、陰影や色彩など多くの要素を取り入れることはおススメしません。
クロッキーの初心者は線によって人物や空間を捉え、独自の魅力的な形を引き出すことを念頭に描いていくと良いと思います。
線だけでできることは無限にあり目的次第です。例えば"人体のフォルムの骨格や美しさを捉える"、"人体の陰影の境目(稜線)を捉える"、"人体の量感を捉える"、"人体全体の動きを表現する"、"女性モデルのアンニュイな感じを捉える"、"モデルのエロティシズムを捉える"、"モデルとアトリエ全体の空間を捉える"などさまざまなことが線だけで表現できます。
人物クロッキー会でのマナー・クロッキー初心者必見
人物クロッキーは通常、ヌードと着衣のどちらか一方で行われ、男性の場合もあれば女性の場合もあります。
大きなアトリエや学校だと、ヌードと着衣、男性と女性が混合されて行われる場合もあります。
多くの人物クロッキー会は2時間30分のタイムテーブルが作られます。
タイムテーブルは6ブロックのポーズ時間と、その合間の休憩時間に分けられています。
1つのブロックは20分に設定され、その中で1分から20分ほどにさらに細かくポーズ時間が割り振られます。
(※下記…タイムテーブルの例)
タイムテーブル | |
---|---|
ブロック | ポーズ時間詳細 |
1 | 10分ポーズ × 2回 |
5 分休憩 | |
2 | 5分ポーズ × 4回 |
5 分休憩 | |
3 | 5分ポーズ × 1回 + 3分ポーズ × 5回 |
10分休憩 | |
4 | 2分ポーズ × 10回 |
5 分休憩 | |
5 | 5分ポーズ × 4回 |
5 分休憩 | |
6 | 10分ポーズ × 2回 |
人物クロッキー会に参加するには始まる15分以上前には到着し、料金の精算をして、自分の場所を確保しなければなりません。いい場所で描きたい人は30分以上前には到着しています。
到着したらイーゼルと椅子、画板を描きたい場所にセッティングして、画材の用意をします。この作業をモデルさんが来るまでの間に完了させましょう。通常イーゼル、椅子、画板はアトリエに用意されています。事前に確認しておきましょう。
モデルさんが来るまでに特に注意したいことは、カメラ機能の付いたスマートフォンなどはバックにしっかりしまっておくことです。カメラ機能が作動していなくてもモバイル機器が見える場所に置いてあると、モデルさんに失礼だし、モデルさんのやる気を損なわせてしまいます。モデルさんが帰ってしまうこともありますので気を付けましょう。
時間になりポーズが始まると、アトリエの外にいる人は、1つのブロックが終わるまで入室することはできません。トイレは早めに済ませてポーズ開始前に着席しましょう。
ポーズが始まるときはモデルさんに対して「お願いします」、ブロックの最後で「ありがとうございました」と言います。これをブロックの始まりと終わりで言います。
クロッキー会が終了したら、イーゼルやカルトン、椅子を片付けて、身の周りを掃除して帰ります。
以上を参考にアトリエではマナーのある態度で作業を行いましょう。
人物クロッキー会のマナーまとめ
- 早めに到着して料金を支払い、描く場所を準備する。
- モデルさんのポーズが始まったら、緊急時以外アトリエに出入りしない。
- スマートフォンやカメラなどのモバイル機器などは電源を切り、カバンの中などに入れて見えないようにする。
- ポーズが開始するときブロックごとにモデルさんに「お願いします」、ポーズ終了で「ありがとうございました」と言う。
- クロッキー会終了後は、少なくとも自分の周囲は掃除する。
人物クロッキーの道具
人物クロッキーを含めクロッキーは基本的に単色で描くことが一般的で、その道具はさまざまです。通常、鉛筆を使う人が多く、初心者は4B~6Bの鉛筆をおすすめします。ほかにコンテ、ペン、墨、アクリル、水彩など使用しても良いと思います。多くの画材の中から自分の表現にあう描画材を探すとよいでしょう。
描く用紙は市販のクロッキー帳を用意すると良いと思います。初心者は制限された時間内で描ききることを一つの目的として、用紙のサイズは自分の能力に合ったサイズを選ぶことをおすすめします。通常、人物クロッキーで使用されるクロッキー帳のサイズはF6、F8、B3サイズです。
ポーズの時間ごとにクロッキー帳のサイズを変更することもできますが、B3サイズのクロッキー帳を用意したら、ポーズ時間が変わっても、同じクロッキー帳を使用する方が上達は早いです。
人物クロッキーに慣れてきたら、大きな画面で描いてみてください。10分~20分が主体の人物クロッキーでは木炭紙大サイズ(F15)のクロッキー帳へ挑戦することで、さらに描写力が向上します。
下記は人物クロッキーでの時間とサイズの使い分けの例です。
- 1分、2分クロッキー…B4(初心者向け)、F6、F8、B3サイズのクロッキー帳
- 5分クロッキー…F6、F8、B3サイズのクロッキー帳
- 10分クロッキー…F6、F8、B3、木炭紙大サイズ(F15)のクロッキー帳
- 20分クロッキー…F6、F8、B3、木炭紙大サイズ(F15)のクロッキー帳
通常、デッサン力の差や描く目的でクロッキー帳の大きさは変化しますが、"小さい画面ではデッサン力を高めることができない""小さく描写してしまう癖がついてしまう懸念がある"などの理由から常に大きな画面で描く人もいます。
人物クロッキーに最適なB3サイズのクロッキー帳
B3サイズのクロッキー帳は、人物の構図を決定しやすいサイズであることから多くの人に利用されています。
静物など人物クロッキー以外でも同じクロッキー帳を利用したいと考えているのなら、F6~F8サイズのクロッキー帳をおススメします。
オリオン クロッキーブック CHシリーズ B3
■商品仕様
・サイズ:B3(約515×364mm)
・紙色:ホワイト
・枚数:60枚
・仕様:背付きスパイラル綴じ
人物クロッキー初心者が揃えるべき道具3点
- 6Bの鉛筆…三菱鉛筆のハイユニ
- 練り消しゴム…バニー イージークリーナー
- クロッキー帳…B3サイズのクロッキー帳
初心者は上に挙げた3つの道具だけ揃えれば、クロッキー会で満足いく作業を行うことができます。
クロッキーでは大量の鉛筆とクロッキー用紙を使用しますので、鉛筆とクロッキー帳は多めに用意しておくと便利です。
クロッキー用紙と経済性
1分、2分、5分の人物クロッキーは、クロッキー用紙を一日で20枚、30枚と多くの紙を消費するので、コピー用紙などの安価な紙が使用される場合があります。しかし、コピー用紙の表面は摩擦が少ないので、思うような描写ができません。
そこで初心者におすすめしたいクロッキー帳は100円均一で販売されているクロッキー帳です。100円均一の販売店では、A4サイズ(210×297mm)で40枚のクロッキー帳とB4サイズ(257×364mm)で25枚のクロッキー帳があり、コピー用紙よりもおすすめできる紙です。
お金に余裕がなくて大きな紙に描きたい人は、100円均一などの安価な画用紙を使用しても良いと思います。ただ、人物クロッキー会では多くの紙を使用することになるので、画用紙では保存するのが大変です。
100円均一クロッキー帳
下に掲載したクロッキーは100円均一のB4サイズのクロッキー帳に描かれています。クロッキーにだいぶ慣れてきた人の作品ですが、まだまだ未熟な作品です。その要因は、骨格や筋肉の形状、動きなどの理解の浅さにあります。ただ、全体の形をバランスよく描けているので、この段階から、もっと大きなクロッキー帳を用意して描いていくとよいと思います。
■人体クロッキーの制作時間と道具
- 時間…5分
- サイズ…B4(100円均一のクロッキー帳)
- 描画道具…B6の鉛筆