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クロッキーとは何か?

クロッキーは動きのある動物や人物の描き方を高める最善方法の一つです。時間制限があるクロッキーは対象の本質を瞬時に見極めるためのヒントとなるでしょう。

クロッキーとは

クロッキー(croquis)はフランス語です。その意味は対象を素早く描くこと、あるいは素早く描かれた絵を指します。

クロッキーはスケッチと混同してしまうことがあります。そこでスケッチとの違いからクロッキーについて考えてみたいと思います。

クロッキーはスケッチと比較すると、主に動きを感じさせる対象、動きを伴う対象を描くことが多いです。例えば人物や動物の静止した状態や動いている状態を短時間(20分以内)で描きます。動くことによって変化する対象をどのように短時間で描くことができるか、どのように表現することができるかがクロッキーを行う上では重要です。
(※この時、人物や動物の静止した状態は、動きの連続性の中にある静止と捉えて考えたいです)

対してスケッチは静物や風景の印象を画面全体に短時間で描きます。人物や動物と比較すれば物理的な動きは少ないですが、対象の印象は刻一刻と変化しています。そのため描きたいと感じた風景の印象が変化する前に描くことが要求されます。対象の変化はゆるやかなためクロッキーほど短時間で描くことは要求されない傾向がありますが、画面全体を管理して描き切る能力が必要です。

クロッキーもスケッチも、その場でしか描けない対象にある絵画の要素を短時間で描くことは同じです。しかし、クロッキーは動物的、スケッチは静物的である点で、描かれた絵画から動きを感じさせる前後感に異なる面があります。また、画面全体を管理する面では、構図を考慮することは共通ですが、スケッチは、画面全体を組み立てるのがクロッキーと比較して複雑で難しいと思います。その反面クロッキーは人物や動物といった特定の対象を描くため一つの対象を集中して描くことができます。そのため人物や動物の全体的な構造だけでなく、部位や要素に焦点を当てて描くことが違和感なく行われます。

クロッキーの表現性

クロッキーは限られた時間と空間、また作者の手法や目的が影響して作風を変化させます。

長時間で完成させるデッサンや絵画とは違い、短時間で描かなければならないクロッキーは集中力を要し、描写内容が限定的になります。

そのため、何を捉えるべきか!?クロッキーをする際の目的は何か!?など自分なりに考えて設定する必要があります。

例えば人物を描こうとするとき、形や陰影、ふくらみ、動きなどの要素に分解して見ることができます。これらを限られた時間で描く場合、要素を限定する必要があります。そのとき、あなたが何を表現するのかが重要です。

例えば“線を主体として人物の形態と共に人物全体から感じられる動きと空間を表現したい”と考えれば、陰影の要素を省くと良いかもしれません。あるいは“人体の骨格と筋肉の動きについて研究したい”と思えば、線によって骨格と筋肉の動きと構造を描くと良いでしょう。

このようにクロッキーで目的の設定と実行を繰り返して、あなた独自のクロッキーを目指しましょう。

下記は学生が描いた10分間の人物クロッキーで、B3サイズのクロッキー帳に6Bの鉛筆で描いています。線を主体にして、さまざまな要素を探ったそうです。

人物ヌード クロッキー 061205

デッサン上達のためのクロッキー

クロッキーは短時間で対象にある絵画の要素を抽出して表現した絵画です。

クロッキーで絵画の重要な要素を見極めて描く能力が高められれば、デッサンや絵画を描く能力は必然的に高められていきます。

はじめは要素を限定してクロッキーを描いていきますが、その要素の描写力が向上すれば、一つの要素を表現するために必要となる時間は徐々に短くなります。

初めは短かった5分間が長く感じられるようになります。

このような状態になったら新たな要素を組み込んだクロッキーを描くことを考えます。

徐々に要素を増やして洗練したクロッキーが描けるようになれば、それと共にデッサン力も向上します。

自分に合ったクロッキー会をみつける

クロッキー会は、ファイン系の着衣モデルやヌードモデルだけでなく、ファッション系やイラスト系などのモデルさんが増えてきています。長く続けられるクロッキー会や教室をみつけてみてください。

全国のクロッキー会 一覧

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