絵の要素を描くときの意識
絵画を描くときは、絵画の要素を一つ一つに分けて表現するのではなく、さまざまな絵画の要素を同時に意識して表現するようにしましょう。
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絵画の要素と描くときの意識[YouTube動画]
絵画を描くために必要な要素と、その要素を描くときの制作者の意識について解説している動画です。
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絵を描くための絵画の要素を理解する
絵画を鑑賞する立場の人は、絵を見ることで気持ち良くなったり、感動したりするために、絵画の要素について深く理解する必要はありません。
しかし、絵を見せる側になったら、まったく立場は違います。
絵を見せることで人を感動させるためには、絵画の要素を自在にコントロールできなければなりません。
そして一つの絵画の要素だけで絵は完成しないので、多くの要素を理解しなければなりません。
できるだけ多くの要素を深く知り、それをまとめ上げることができれば、よい絵に近づく可能性が高まります。
このサイトでも、絵画の要素について理解してもらうために[デッサンの描き方と基礎技法][デッサンの描き方講座]というコンテンツがあるので参考にしてください。
絵画の要素を学ぶ方法
絵画の要素さまざまにあります。
例えば透視図法(線遠近法)や明暗法、ムーブマン(動き)、ボリューム(ふくらみ)、図と地、構図などがあります。
これらの要素を学ぶ方法はさまざまにあり、それぞれの要素はさらに細分化されるので、一つの要素を理解しても、その要素を完全に理解したことにはなりません。
逆に一つのことが理解されると、さらに異なる要素が絡んでくるので、知れば知るほど理解する必要が生じてきます。
そのようなことから、絵画の要素は一面的に理解せず、他の絵画の要素のかかわりの中で、どのように絵画の要素が変化するのか意識して、さまざまな方法で継続して絵画の要素を学ばなければなりません。
例えばクロッキーを描くとしても、はじめは線について理解し、そして陰影を理解し、さらに構図を理解し、多くの要素が積み重なりながらクロッキーによる絵画の要素が理解できるようになります。
完成形のクロッキーなどないので、常に課題を見つけて、それを克服するように描く必要があります。
そのようなクロッキーを学びながら、デッサンでは対象の本質に迫るための絵画の要素を学び、未熟であっても作品もつくり続けるようにします。
絵画を学ぶことと作品をつくることは、このように終わりがありません。
絵を描くときは必要な要素を同時に描く
絵は、形の輪郭を描いて、固有色を描いて、光を表現して、といったように一つ一つの要素を描いて仕上がるものではありません。
絵を描くときは、対象を描くためのさまざまな要素をできる限り同時に描いていく必要があります。
例えば対象の輪郭線を引くときには、対象の形を描くとともに手前から奥へ向かう奥行きなども同時に感じられるように表現します。
陰影を描くときには、単に色を塗るようなことはせず、対象の質感やふくらみなどの他の要素も感じられるように意識しながら描いていきます。
このように絵を描けるようになると、絵を描くときに、塗るという意識がなくなります。
具象絵画と抽象絵画の要素と意識の違い
[デッサンとドローイング]のページで指摘しているように、具象絵画と抽象絵画では描写方法の意識には違いがみられます。
具象絵画は具体的な対象がモチーフとしてあるので、作者のイメージやテーマに合うように意識的に構成されて描かれていきます。
それに対して抽象絵画は具体的な対象が希薄ではあるものの、描きたいテーマやコンセプトがあり、それを実現するように絵画の要素を自由にコントロールして構成して描かれていきます。
大きな違いは意識と無意識、必然性と偶然性という正反対の要素で成り立っていることです。
具象絵画は意識的であり、必然的な表現手法で描かれていますが、抽象絵画は無意識的であり、偶然性の要素が強く関わります。
ここで着目したいのは抽象絵画の無意識と偶然性の要素をどのように理解するべきか、ということです。
その方法を端的に言えば、絵画以外の様々な経験を積み、偶然できた色や形をよいと思える感性を成長させて、無意識や偶然性の要素を理解して、それらをドローイングなどで表現できるように訓練することです。
2023年1月23日執筆公開