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油画と日本画どちらを学ぶべきか悩む人へ

油画と日本画、あなたの絵画制作の表現手法が油画に向いているのか日本画に向いているのか考えてみましょう。

油画と日本画どちらを学ぶべきか悩む人へ

あなたが油画向きか日本画向きか考えてみる

明確にあなたは油画向きですとか、日本画向きですとは言えませんが、絵を描く手法や考え方から、どちらに適性があるか考えることはできると思います。

このページを参考にして、油画と日本画のどちらが自分にあっているか探ってみてください。

厚塗りか薄塗か

例えば、透明水彩で絵を描くときの絵の具の扱い方を思い出してみてください。

オーソドックスな透明水彩の描き方は、白い紙の白さを明るい部分として生かしながら着彩します。

そのように描く人は、白い絵の具を多く使うことなくフラットな画面のまま絵画を仕上げることができます。この描き方ができる人は日本画に向いています。

それに対して紙の白さを無視して、盛り上げるように白い絵の具を使用して描くような人は凸凹した画面になります。 この描き方が好きな人は油画に向いています。

厚く絵の具を盛り上げて描く人も、紙の白さを活かして描く人も訓練すればどちらの描き方も描けるようになりますが、どちらが好きかで油画向きか日本画向きかを考えてみてもよいかもしれません。

厚塗りか薄塗か
厚塗りの透明水彩を描くあなた 薄塗の透明水彩を描くあなた
透明水彩の描き方を逸脱してまでも、厚く絵の具を盛り上げて描くようなあなたは油画に向いているかもしれません。 紙の白さを意識した表現方法が好きなあなたは日本画に向いているかもしれません。

鉛筆デッサンと木炭デッサンのどちらが好きか⁉

鉛筆デッサンと木炭デッサンは白い紙に黒い描画材で描いていくので、同じような手法で描いていくことができます。

しかし、描画材の特性が理解できると鉛筆と木炭での描き方は劇的に変わります。

鉛筆デッサンでは紙に鉛筆を描写して色を重ねていくことで、対象を表現していきます。その際、サッピツや布などでこすったりする以外は、あまり描写した個所を壊すようなことはしません。このような描き方は日本画に近い手法と考えられます。

それに対して、木炭デッサンは木炭紙のように凹凸のある画面に木炭の粉をくいこませることで色を定着させて対象を表現していきます。この時、木炭紙に描写した木炭を布などで落としたり壊したりして、目的の色へ近づけていきます。このような描き方は油画に近い手法と考えられます。

この表現手法の特徴から、鉛筆デッサンが得意な人は描写主体のプラスの作業で完結する日本画に向いていて、木炭デッサンのようなプラスの作業と描写する部分を消したり、壊したりするマイナスの作業を使い分けることが得意な人は油画に向いていると思います。

鉛筆デッサンと木炭デッサンのどちらが好きか⁉
木炭デッサンが得意なあなた 鉛筆デッサンが得意なあなた
プラスの作業だけでなく、マイナスの作業の描き方が好きな人は油画に向いているかもしれません。 プラスの作業が主体の描き方が好きな人は日本画に向いているかもしれません。

油画と日本画の材料から考える

油画と日本画の根本的な違いは材料です。

油画はリンシード油などの乾性油が、日本画では動物のたんぱく質から取り出したゼラチンの膠が、絵具を接着する役割をしています。

これらの材料は体質的に合わない人もいるので、事前に油画と日本画の材料について理解するとよいと思います。

また、さきほど鉛筆と木炭のデッサンの比較で指摘したように、油画は木炭同様にマイナスの作業が好きな人は向いています。基底材にもよりますが、板やキャンバスに描かれた絵の具をこそぎ落としたりするのは容易です。

それに対して日本画で絹や紙などに描かれた場合は、簡単に描きなおす作業はできないと思います。そのため絵画を描く手順や構成手法を計画的に進める必要があるので、計画性のある人は日本画に向いていると思います。

油画と日本画の材料から考える
油画の材料 日本画の材料
油画では、材料の特性から一度描いた絵の具をこそぎ落とすことが容易で、プラスの作業とマイナスの作業で絵画を描くことができます。構図の変更は容易なので、描き進めながら劇的に絵を変えるような人は油画に向いているかもしれません。 日本画では、材料の特性から一度描いた絵の具をこそぎ落とすような描き方はせず、主にプラスの作業で描かれます。絵画を描く手順や構成手法を計画的に進められる人は日本画に向いているかもしれません。

油画と日本画の歴史から考える

油画は、14世紀後半頃、ヨーロッパのネーデルラント地方で生まれ、ファン・アイク兄弟によって15世紀に確立されたと考えられています。その後、油画はヨーロッパ各地へ広がり、ルネサンスやバロックなどの時代を経て油画は世界的に最も人気のある絵画の表現手法の一つになります。

それに対して日本画は明治以降に西洋から伝えられた油画と区別するための名称で、日本の伝統絵画を総称しています。日本画は中国などの絵画に影響を受けつつ、日本独自に千数百年以上続いている絵画の表現様式になります。日本画の歴史を理解することは日本の文化を理解することにもつながるので、日本の文化を理解し継承する意欲のある人は日本画を描くべき人だと思います。

油画と日本画の歴史から考える
油画の歴史 日本画の歴史
油画は歴史的に新しいですが、世界的に最も人気のある絵画の表現手法です。
古典的な技法はありますが、おおむね表現方法は自由なので、自由な発想で思うがままに描きたい人は油画を描くとよいかもしれません。
日本画は日本の伝統絵画を総称しています。油画と比較すれば、確立された技法やその歴史などをしっかり理解する必要があります。
日本独自の日本画を継承し発展させたい人は日本画を描くべきかもしれません。

油画と日本画どちらを学ぶべきか⁉-まとめ

油画と日本画どちらを学ぶべきか⁉-まとめ
油画が向いているかもしれない人の特徴 日本画が向いているかもしれない人の特徴
  • 透明水彩で絵の具を厚くして描くことがある。
  • 木炭デッサンが得意で、プラスだけでなくマイナスの作業で絵画を構築するのが得意である。
  • 構図や構成手法を吟味するものの本画を描き進める中で、構図の変更や修正を行うことで絵を完成させる。
  • 伝統的な手法やセオリーに縛られずに思うがままに描くことができる。
  • 透明水彩で画用紙の白さを利用して描くことができる。
  • 鉛筆デッサンが得意で、主にプラスの作業で絵画を構築するのが得意である。
  • 構図などの構成手法を吟味してから本画の制作に移行し、計画通りに絵を完成させる。
  • 日本固有の日本画を継承し発展させる意欲がある。

以上がこのページのまとめですが、油画と日本画を学んでいる人が共通して表現手法として応用されるのがアクリル絵画だと思います。

個人的には油画と日本画の表現手法の中間的な位置にある絵画の表現手法がアクリル絵画だと思っています。

油画、あるいは日本画を学んだけれど最終的にアクリル画に行き着いた人は多くいます。

それに対して油画や日本画の手法にこだわって描いている人は、表現手法として古典的手法を継承し展開していることなどが際立っています。

余談ですが、松井冬子は女子美術大学の短大で油画を学び、東京芸術大学で日本画を学んでいます。参考まで。

※最終的には絵画教室や学校の美術の先生などにも相談して、決断するとよいと思います。

2023年1月21日執筆公開

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