野田弘志|『リアリズム絵画入門』を読んで

現代美術|芸術って何だ!

デッサンと言う礎|デッサンの描き方と基礎

野田弘志-『リアリズム絵画入門』を読んで…

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野田弘志-『リアリズム絵画入門』を読んで…

以前、野田弘志氏(以下、敬称略)が描いたデッサンを見たことがあり、そのリアルな表現や技術は見ていて息を呑むほどのものがありました。

その後『リアリズム絵画入門』という野田弘志の本を運よく発見でき読むことができました。この手の本は日常、本屋さんに出入りしていないとなかなか出会うことがありません。私もたまたま立ち寄った本屋さんで出会った次第です。

リアリズム絵画といえば野田弘志というように、日本の代表選手のように思っていたので、興味深く読み進むことができました。


この本は、これから絵画を学ぶ人には少々難しい領域もありますが、絵を描く基本的なことについて解説されていてお勧めしたい本です。写真とリアリズム絵画の違いなど、情報社会の中でのリアリズム絵画の立ち位置などについて言及し、絵画を学ぶ意味なども読み取ることができるでしょう。

また、デッサンについて多くのページが割かれていて、デッサンをする心構えや取り組み方がわかりやすく解説されています。よくある絵画の技法書とは違い、絵画への向き合い方が情熱的に解説されています。

野田弘志は油画で作品を制作されていますが、その制作上の秘密が掲載されていてファンのみならず貴重な資料となる本でしょう。その内容は、油画での技法というものではなく、絵画制作をするうえでの考え方や姿勢、取り組み方、リアリズム絵画の魅力を伝えることに終始しているといえます。

また、リアリズム絵画の歴史などにも言及し、これからのリアリズム絵画の必要性、必然性なども解説されています。中でも第8章の『死すべき命を見つめる』では、現代のリアリズム絵画の本質を解説しているといえるでしょう。

第8章の内容の断片を私なりに換言すると、"あるものを描こうとするとき、そのものと同じ空間で同じ時間を共有しなければ、そのものを理解することは難しい"ということがいえると思います。そして、有機的なものから無機質なものまで"死すべき命を見つめる"ために、野田弘志のみならず多くのリアリズム絵画の作家が苦労していることなのだろうと思いました。また、自分自身の情報を集約し絵画へと表現するためには、自分だけにしかない対象へのアプローチ方法を作り上げていくことが、同時に作品を制作していくことにつながると思われました。

2012年3月24日


リアリズム絵画入門
リアリズム絵画入門

デッサンと言う礎より
この本は絵をこれから学ぼうとする人にある絵画に対する多くの疑問を見事に解決してくれる本です。ただ、同じデッサンを一年かけて制作する方法などは野田氏の考えがあってなせることなので安易に真似はしないほうがいいでしょう。

また、リアリズム絵画に興味があったり、今後、制作をしていこうと考えている人にとっては、野田氏の制作への取り組み方や指針は貴重な資料になるでしょう。そして、絵画がどこまで他の表現方法を凌ぐ発信力や伝達力があるのか!?そんな疑問の答えに近づくための入門書としてもよい本と思います。

内容紹介(amazon.co.jpより)
リアリズム絵画、つまり目の前の空間を画面に写し取り、 あたかも現実空間がその中にも存在するかのように創り 出される絵画は、ラスコーの洞窟壁画にも繋がる絵画史 の原点にして、レオナルド・ダ・ヴィンチやフェルメールの 作品にも繋がる究極の手法です。

この本は《リアルズム絵画》という制作方法と"生き方"を 選んだ画家が、その実践と哲学を綴ったこれまでにない 本格的指南書です。

デジタル技術が高度に開発された 現代、手で絵を描くことに一体どんな意味があるのか? リアリズム絵画は写真とどう違うのか? ダ・ヴィンチやフェ ルメールの本当の凄さとはいったい何なのか? さらには リアリズム絵画が根づかない日本の美術業界の特殊事 情にまで踏み入ります。

日本洋画界の精神的支柱でもある著者が、リアリズム 絵画にまつわる素朴な疑問に正面から向き合う本書は、 本格的にリアリズム絵画を学ぼうとしている人ばかりか、 現代においてなお絵を描いていきたいという人にもぜひ 読んでいただきたい本質的な内容を孕んでいます。

内容(「BOOK」データベースより)
"リアリズム絵画"という生き方を選んだ孤高の画家が、その実践と哲学を綴ったこれまでにない本格的指南書。

リアリズム絵画入門-詳細はこちら…リアリズム絵画入門―詳細


HIROSHI NODA―MASTERWORKS + CATALOGUE AND ESSAYS
HIROSHI NODA―MASTERWORKS + CATALOGUE AND ESSAYS

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
野田 弘志
昭和11年6月11日韓国・全羅南道光山郡に生まれる。
昭和30年3月愛知県立豊橋時習館高等学校を卒業する。
昭和31年6月上京、阿佐ヶ谷美術学園洋画研究所に入所、デッサンを学ぶ。また森清治郎(1921‐2004)に師事しデッサン、油彩画を学ぶ。
昭和32年4月東京芸術大学美術学部油画科に入学する。
昭和35年3月白日会第36回展「東京都美術館」に"三人"を初出品、初入選して白日賞を受賞する。
昭和36年3月白日会第37回展「東京都美術館」に"鳥葬""虚無"を出品、プールブー賞を受賞、白日会準会員となる。同月東京芸術大学美術学部油画科「小磯良平教室」を卒業する。7月東急エージェンシー企画調査部制作課にイラストレーターとして入社する。
昭和37年3月白日会第38回展「東京都美術館」に"ひとりの女""白い風景"を出品、白日会会員となる。11月東急エージェンシーを退社。以後、1970年に絵画に専念するまでデザイン会社を設立するなど、イラストレーターとして活躍する。
昭和42年12月東京イラストレーターズクラブ会員となる。
昭和43年、全国カレンダー展でスタッフとともに文部大臣賞を受賞する。その他いろいろな作品展に出品し受賞する。
平成4年10月愛知県立芸術大学美術学部非常勤講師となる。(翌1993年3月まで)平成7年4月前年に開校した広島市立大学芸術学部教授となる。研究室でも制作をするようになる。
平成17年3月広島市立大学を退職する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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野田弘志氏の紹介サイト

 

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