後期印象主義-二次元である画面の強調
西洋絵画の歴史・美術史|芸術と絵画史
後期印象主義の主な人物
時代
19世紀後半
主な場所
フランス
人物
- ポール・セザンヌ(Paul Cézanne、1839年1月19日 - 1906年10月23日)
- フィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent_van_Gogh, 1853年3月30日 - 1890年7月29日)
- ウジェーヌ・アンリ・ポール・ゴーギャン(Eugene Henri Paul Gauguin, 1848年6月7日 - 1903年5月8日)
後期印象主義の絵画の特色と様式
後期印象派(後期印象主義)は主に上にあげた3人のことを指しています。
印象派を肯定し発展したものではなく、印象派の後の絵画と捉えられます。
印象主義の主題はクールベの写実主義やバルビゾン派の絵画と大きな違いはなく、風景や日常の生活など外界を表現することでした。
しかし、ゴーギャンは自分の内面を表現することが重要だと考えていて、写実主義や印象主義を否定することになります。
ゴーギャンやセザンヌの制作の特徴は、形や色の探究によって絵画の平面性が強調される所にあります。
それまでの絵画は3次元の世界を2次元の平面に移すことを主眼にしていましたが、彼らの絵画は2次元の絵画の平面性を強く強調するようになります。
後期印象主義の画家と特色
ゴーギャン(1848-1903)
[ゴーギャン,海辺]
形、色の単純化を進め、絵画の平面性を意識した作品を描きました。色彩は外の世界の再現ではなく、自分の内面性が表現される傾向があります。
また、「あまり自然に即して模写してはいけない。芸術は自然から抽象を引き出すことだ。」ということを言っています。この言葉には絵画を平面的にし、色彩の自律を促す指針が認められます。
内面にある色彩を重要視し、色彩の抽象性、純粋性を求めたゴーギャンの絵は、後にナビ派やフォーヴィスムへ影響を与えます。
ゴッホ(1853-1890)
[ゴッホ,The Starry Night,1889年]
初期の作品は暗い絵でしたが、印象派の影響で明るい作品へ移行します。その後、日本の浮世絵に影響を受け画風も変化していきました。
さらにゴーギャンの影響を受けると彼の絵は自然を再現する色彩表現をやめます。「自分は赤と青とで人間の恐るべき情念を表現する」という言葉の通り、自分の激しい感情を表現する色彩へ変化します。
絵画はゴッホの感情と一体となり、視覚的現実を超越していきました。後に彼の強烈な作品は表現主義に大きな影響を与えます。
セザンヌ(1839-1906)
[セザンヌ,Still Life with Apples and Oranges,1895-1900年]
セザンヌの「自然を球体、円錐形、円筒形で扱うようにしなさい。」という有名な言葉は、それまでの感覚主義的な絵画に対し、理性的秩序の導入を導きました。それは、形態の純粋化、単純化への第一歩となります。セザンヌの絵画はキュビスムが展開する原動力となります。
後期印象主義の絵画様式のその後
後期印象派が行った形や色などの絵画の造形要素の探究や内面世界の表現は、その後の絵画に大きな影響を与えました。
ゴーギャン…ナビ派、フォーヴィスム
ゴッホ…表現主義
セザンヌ…キュビスム
彼らは以上のように影響を与え繋がりを見せています。
形態の純粋性、色彩の純粋性、内面的表現、科学的根拠などは、この時代以降の絵画の重要なキーワードになります。