シュールレアリスム的な表現は、ジョルジョ・デ・キリコ(1888-1978)の作品(右写真)に見ることができる。彼の絵は形而上絵画などと呼ばれたりもする。
そののち、「シュールレアリスム」が正式に誕生する。1924年に詩人アンドレ・ブルトン(1896-1966)が発表した「シュールレアリスム宣言」からである。
そこで、シュールレアリスムの定義を提唱している。そこには、「理性による支配をまったく受けないところで、また、あらゆる美学的、道徳的先入観の外で、記述された思考である。」といったことが記されている。
その時代背景は、ダダイズムの運動によって、それまでの既成の美の観念が否定と破壊にさらされていた。その運動の後を受け継ぐように新しい美学を提唱するのがシュールレアリスムであった。ダダイズムによって、既成の権威が破壊されていく中、芸術の探求領域は”無意識”の世界にすすむことになる。そこに無意識の学説を提唱したフロイトの”深層心理学”の影響は大きい。
シュールレアリストたちの、深層心理、無意識の世界を具現化する手法は、夢の中でみた映像を絵にしてみたり、偶然見えた形態を積極的に作品に取り入れてみたり、様々に生み出されていく。その手法の根本には、意識下、無意識の世界をどのように引き出すかが、重要なポイントで、多くは、ダダイズムから引き継いだものが多い。下に、シュールレアリストたちが使用した有名な手法を上げておく。
- オートマティスム
- 自動記述といわれるもの。美的基準、倫理基準を用いないで思ったままを純粋に心の動きそのままを記述していく方法。のちに、抽象表現主義(アブストラクト・エクスプレッショニズム)へと伝わる。
- デペイズマン
- 違和効果といわれるもの。別の文脈にあるもの同士を引き出し、新たな文脈に置くことで意味の変容をはかる。まったく無関係と思われるもの同士を組み合わせて、独特の世界を作り上げ、思いもよらない奇妙な効果、詩的な効果を追求していく方法。
- フロッタージュ
- マックス・エルンストによる作品で多く使われた手法。木目などに紙をのせ鉛筆などで擦り出して、イメージを引き出す方法。
- デカルコマニー
- 紙などに、インク、絵具などをランダムにのせ、それを何かに押し付けて、偶然できる形、色を使ってイメージを引き出していく手法。
- コラージュ
- 平面上に、紙片や物体をのせ、イメージを引き出していく方法。
- フォトモンタージュ
- 複数のイメージの合成写真。平面上に、写真の切れ端をのせていくコラージュ。
■1920年代にシュールレアリスム絵画は大きく2つの様式に分かれる。
第1の様式としては、サルバドール・ダリなどに見られる厳密な写実主義による不条理性の表現、幻想的、幻覚的世界のイメージである。この様式は、現代でも多くの人が身近に感じていて、様々な広告、映像などにも取り入れられている。
第2の様式は、ホアン・ミロなどによるもの。オートマティスムの手法を使った感情的感覚世界の抽象的なイメージである。その後の抽象芸術に与えた影響は大きい。
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