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構図の水平線を分析する

構図における水平線の特徴

構図の水平線を分析して、絵画における水平線の役割、心理作用を3枚の絵画から考えてみましょう。

ミレー『落穂拾い』の水平線の特徴

ミレー『落穂拾い』1857年
ミレー『落穂拾い』1857年

ミレー『落穂拾い』水平線の分析
ミレー『落穂拾い』水平線の分析

この絵画の人物の背後には風景が広がっています。地上と空を分ける赤色で記した水平線を確認することができます。

このように風景では海と空、あるいは大地と空を分ける線として水平線を見ることができ、対象の性質が変化したことを示すことができます。

そして水平線が画面に広がりを生み、動きのある人物との対比で落ち着きと安定感を与えます。

クラース『ヴァニタス-静物』の水平線の特徴

ピーテル・クラース『ヴァニタス-静物』1625年
クラース『ヴァニタス-静物』1625年

ピーテル・クラース『ヴァニタス-静物』水平線の分析
クラース『ヴァニタス-静物』水平線の分析

この絵画の水平線はテーブルの形状を表現しています。定規で描いたような無機質な水平線が手前と奥で確認できると思います。

このような無機質な水平線は画面を静止させる性質があり、横に広がりを与えています。

水平線によって分割された上下の対象の質は変化し異なります。手前にある緑色の水平線はテーブルの側面と上面を分割し、奥にある赤色の水平線はテーブルの上面と壁面が分割されます。

ゴヤ『マドリード、1808年5月3日』の水平線の特徴

フランシスコ・デ・ゴヤ『マドリード、1808年5月3日』1814年
ゴヤ『マドリード、1808年5月3日』1814年

フランシスコ・デ・ゴヤ『マドリード、1808年5月3日』水平線の分析
ゴヤ『マドリード、1808年5月3日』水平線の分析

この絵画は明るく照らされた男達へ処刑隊の銃口が向けられた瞬間です。詳細は割愛します。

この絵画は兵隊から銃口、そして照らされた男達へ向かう赤色と緑色の水平線が画面を貫いていて視認性を強くします。

そして足元の地面に銃殺されて横たわる人物が作る青色の水平線が黄色の水平線と呼応して構図に安定感を与えています。

銃口から人物を射殺する方向を向く緑色の水平線は死を予感させ、銃殺された人物の青色の水平線は、横たわる人物の死を示唆しています。

また赤色の水平線の上部に広がる王宮が、王政、軍隊、市民の対峙を表現しています。


水平線の特性や効力は、縦長の画面よりも横長の画面の方が強く引き出せます。その大きな理由は、線や面は長い方向の特性の方を強く感じるからです。

今回の場合は、縦長の画面を水平線で分割するよりも横長の画面を水平線で分割する方が横に長い面と線が生じ、水平線の特性が強調されることになります。

構図にある水平線の特徴まとめ

  • 水平線は横方向へ広がりを強調する。
  • 水平線は落ち着きと安定感を感じさせ画面のバランスを保つ。
  • 定規で描いたような水平線は無機質で静止した印象を与える。
  • 水平線は死を示唆する。
  • 水平線で分割された上下で意識的に変化を与えることができる。
  • 水平線は縦長の画面よりも横長の画面の方が効力が強い。

参考画像

  • ミレー『落穂拾い』1857年,油彩,キャンバス,83.5×110cm,オルセー美術館
  • ピーテル・クラース『ヴァニタス-静物』1625年,油彩,29.5×34.5cm,フランスハルス美術館
  • フランシスコ・デ・ゴヤ『マドリード、1808年5月3日』1814年,油彩,キャンバス,266×345cm,プラド美術館

2021年3月7日執筆公開

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